編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Paprott R, Schaffrath Rosario A, Busch MA, Du Y, Thiele S, Scheidt-Nave C, Heidemann C: Association between hemoglobin A1c and all-cause mortality: results of the mortality follow-up of the German National Health Interview and Examination Survey 1998. Diabetes Care. 2015; 38: 249-56. [PubMed]

本研究においても,これまでの多くのデータと同様に,平均11年フォローアップしても前糖尿病状態における死亡率の増加は認められなかった。このデータは,前糖尿病状態における介入が不要であることを示唆している。また本トライアルでは,さまざまな併存疾患を補正しても,HbA1c低下例で死亡率の増加が認められるが,これはHbA1cが補正しえない慢性炎症性疾患の存在が関与していると考えられる。詳細に関しては,今後の検討が必要である。【綿田裕孝

●目的 血糖状態(HbA1c値)と全死亡との関連を検討した。
●デザイン コホート,ドイツ。
●試験期間 平均追跡期間は11.6年(2008年10月~2011年10月)。
●対象患者 1997年10月~1999年3月に実施された「ドイツ国民健康聞き取り調査1998(German National Health Interview and Examination Survey 1998)」参加者6,299例。
登録基準:18~79歳。
●方法 対象者を,血糖状況およびHbA1c値に基づき,既知の糖尿病例(自己申告による糖尿病診断歴,または糖尿病治療薬を7日以内に使用)313例,未診断糖尿病例(HbA1c≧6.5%)238例,前糖尿病例(糖尿病発症高リスク例[HbA1c 5.7~5.9%]1,056例,糖尿病発症超高リスク例[HbA1c 6.0~6.4%]692例),正常血糖例(HbA1c<5.7%)4,000例(対照)に分けて,全死亡リスクを比較した。
年齢,性別,教育レベル,喫煙状況,スポーツ活動,中等度のアルコール消費,BMI,腹囲,心筋梗塞/脳卒中/癌の既往,高血圧症/高脂血症の既往により調整後,Cox比例ハザード回帰により追跡期間中の死亡のハザード比(HR)および95%信頼区間を算出した。
さらに,既知の糖尿病例を除外したCubicスプライン回帰モデルによる解析も実施した。
●結果 追跡期間における全死亡は552例であった。
全死亡リスクは,既知の糖尿病例(HR 1.41,95%信頼区間1.08-1.84)および未診断糖尿病例(HR 1.63,1.23-2.17)では増大が認められたが,糖尿病発症高リスク例(HR 1.02,0.80-1.30)および糖尿病発症超高リスク例(HR 0.87,0.67-1.13)では増大しなかった。
既知の糖尿病例以外を対象としたCubicスプライン回帰モデルでは,死亡リスクはHbA1c 5.4~5.6%の症例でもっとも低くなり,HbA1c≦5.0%の症例およびHbA1c≧6.4%の症例で有意に上昇するという,U字型の関連を認めた。
●結論 既知の糖尿病例や未診断糖尿病例とは異なり,前糖尿病を示すHbA1c値は全死亡リスクの増大と関連しなかった。本研究結果では,HbA1c値と全死亡リスクにU型の関連が示され,HbA1cは高値のみならず低値でも全死亡リスクと関連するという既存のエビデンスを支持するものであった。