編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Emdin CA, Rahimi K, Neal B, Callender T, Perkovic V, Patel A: Blood pressure lowering in type 2 diabetes: a systematic review and meta-analysis. JAMA. 2015; 313: 603-15. [PubMed]

2型糖尿病患者において降圧療法が死亡・心血管疾患ならびに細小血管障害のリスク低減につながるか,40件のランダム化臨床試験(対象者約10万人)のデータを解析したシステマチックレビューである。
ベースラインの平均収縮期血圧が140mmhg以上の場合,10mgの降圧が,死亡,心血管イベント,網膜症,アルブミン尿のリスク低下と有意に関連していることが示された。しかしながら,心不全ならびに腎不全のリスク低減に寄与しなかったことも示されている。
本研究は,2型糖尿病患者における降圧の重要性を,きわめて大きな集団を対象として明示した。しかし,ベースラインの平均収縮期血圧が140mmhg未満の場合,降圧の有用性はみられないことから,降圧療法を行う場合は,対象者をきちんと選択すべきであることも示されている。また,降圧目標をどこに設定すればよいのかは,本研究の結果からは示されておらず,この点を焦点にした同規模の報告が待たれる。【西村理明

●目的 2型糖尿病患者において,降圧療法と血管疾患との関連を検討した。
主要アウトカムは全死亡,大血管アウトカム(心血管疾患イベント,冠動脈疾患イベント,脳卒中,心不全),細小血管アウトカム(網膜症,アルブミン尿,腎不全)。
●デザイン システマティックレビュー,メタアナリシス。
●試験期間
●対象患者 100,354例:2型糖尿病患者における降圧治療について検討したランダム化比較試験(RCT)40件。
RCTの採用基準:1966年1月1日~2014年10月28日に発表,バイアスリスクが低い試験,追跡期間が1000人・年超(小規模試験によるバイアスリスクを低減するため)。
●方法 Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-Analyses(PRISMA)ガイドラインで推奨される手法を用いて,MEDLINEより,検索語(anti-hypertensive agents or hypertension or diuretics, thiazide or angiotensin-converting enzyme or receptors, angiotensin/antagonists & inhibitors or tetrazoles or calcium channel blockers or vasodilator agents)を用いて検索。
さらに,British National Formularyに登録された降圧薬名やMeSH検索語(blood pressure/drug effects)を用いて検索。使用言語の制限なし。
データ抽出は,2名が独立して実施した(相違が生じた場合は議論により解決)。
●結果 収縮期血圧(SBP)が10mmHg低下するごとにリスクが有意に減少したのは,全死亡(20試験)(相対リスク[RR] 0.87,95%信頼区間0.78-0.96,絶対リスク減少[ARR] 3.16/1000人・年,95%信頼区間0.90-5.22),心血管イベント(17試験)(RR 0.89,0.83-0.95,ARR 3.90,1.57-6.06),冠動脈性心疾患(17試験)(RR 0.88,0.80-0.98,ARR 1.81,0.35-3.11),および脳卒中(19試験)(RR 0.73,0.64-0.83,ARR 4.06,2.53-5.40)であり,心不全および腎不全については有意な関連を認めなかった。
細小血管アウトカムについては,SBPの10mmHg低下は,網膜症(7試験)(RR 0.87,0.76-0.99,ARR 2.23,0.15-4.04)およびアルブミン尿(7試験)(RR 0.83,0.79-0.87,ARR 9.33,7.13-11.37)のリスク減少と有意に関連した。
ベースラインの平均SBP(≧140mmHg,<140mmHg)により試験を層別して検討した結果,ベースラインの平均SBPが≧140mmHgの試験では,治療によりSBPが10mmHg低下すると,全死亡(13試験)(RR 0.73,0.64-0.84)(P for interaction<0.001),冠動脈疾患(10試験)(RR 0.73,0.61-0.87)(P for interaction 0.01),心血管疾患(11試験)(RR 0.74,0.65-0.85)(P for interaction 0.001),および心不全(8試験)(RR 0.75,0.59-0.94)(P for interaction 0.09)のリスクがそれぞれ有意に減少したが,SBPが<140mmHgの試験ではそのような関連を認めなかった。
降圧治療(降圧薬の種類に基づくレジメン)とアウトカムとの関連については,脳卒中と心不全を除き,有意な関連を認めなかった。
●結論 ベースラインの平均SBPが140mmHg以上の2型糖尿病患者において,降圧治療は全死亡およびその他の臨床アウトカムを改善した。