編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Adeyemo MA, McDuffie JR, Kozlosky M, Krakoff J, Calis KA, Brady SM, Yanovski JA: Effects of metformin on energy intake and satiety in obese children. Diabetes Obes Metab. 2015; 17: 363-70. [PubMed]

metforminが摂食量に対する満足感や満腹感を高めることは,これまでに多くの検討で示されてきたが,小児肥満・非糖尿病患者を対象とした今回の研究でも,同様の結果が示された。
metforminがエネルギー摂取量を抑制する機序として,(1)食欲を高めるニューロペプチドYシグナルを抑える,(2)レプチン作用を修飾する,(3)GLP-1レベルを高める,ことなどが考察されよう。【河盛隆造

●目的 高インスリン血症の肥満児において,metforminが食欲とエネルギー摂取量に与える影響を検討した。
一次エンドポイントはエネルギー摂取量の変化。二次エンドポイントは空腹感+満腹感+食欲に関するスケールの変化。
●デザイン 無作為,プラセボ対照,二重盲検,単施設(アメリカ国立衛生研究所[NIH]臨床センター)。
●試験期間 試験期間は6ヵ月。
●対象患者 84例:6~12歳の高インスリン血症(空腹時インスリン≧15μU/mL)の肥満児。平均年齢はmetformin群10.1歳,プラセボ群10.3歳,女児はそれぞれ35.9%,44.4%,体重は76.7kg,80.0kg,BMIは34.8kg/m2,34.7kg/m2
除外基準:クレアチニン≧88.40μmol/L,重篤な心臓/肺疾患,肝酵素高値(アラニン・トランスアミナーゼ値またはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ値が正常上限の1.5倍超)を伴う肝疾患,空腹時血糖値異常(≧5.55 mmol/L[99.8mg/dL])または糖尿病(空腹時血糖値≧6.99mmol/L[125.8mg/dL]またはHbA1c≧6.5%),6ヵ月以内に2%の体重減少,肥満につながるその他の内分泌機能の障害,6ヵ月以内の食欲抑制剤の使用,高血圧症または脂質異常症に対する薬物治療。
●方法 metformin群(45例),プラセボ群(39例)にランダム化。
metforminは,500mg 1日2回より開始し,3週間かけて最大1000mg 1日2回まで忍容性にあわせ漸増投与。
また,栄養士が全小児および保護者に会い,食事療法によるエネルギー摂取量の削減,身体活動の増加,非活動性の減少などを目的とした減量のための生活習慣改善プログラムを,月に1回施行した。
全小児は,ベースライン時と試験薬6ヵ月投与後にそれぞれ2日間入院し,以下の評価を実施した。
ベースライン:全小児は,12時間以上の夜間絶食後,入院1日目の午前11時に,自己評価により,空腹感+満腹感+食欲に関する視覚的評価スケールを記録し,28項目9,835kcalの試験食(Food Array I)を自由裁量にて摂取した。その間,食事にかかった時間および摂取量などが部屋外からモニターされ,記録された。小児は試験食後,自己評価による空腹感+満腹感+食欲に関するスケールを再度記録した。
6ヵ月後:全小児は,12時間以上の夜間絶食後,入院2日目の午前9時に,ミルクシェーク様飲料水(787kcal,蛋白質11%)を20分以内に飲みきり,その後自己評価による空腹感+満腹感+食欲を記録。2時間以上経過後に,ベースラインと同様の試験食(Food Array II)を自由裁量にて摂取し,同じく時間と摂取量がモニターされ,記録された。試験食後,自己評価による空腹感+満腹感+食欲に関するスケールを再度記録した。
●結果 metformin群ではプラセボ群にくらべ,6ヵ月後のBMI(-0.78±0.3 vs. +0.32±0.3 kg/m2,P=0.006)および体重(+1.4±1.4 vs. +4.85±0.5 kg)の増加が少なかった。
一次エンドポイントのベースライン(一晩絶食後のFood Array I)から治療6ヵ月後(ミルクシェーク様飲料水負荷後のFood Array II)のエネルギー摂取量の変化は,metformin群でプラセボ群にくらべて有意に減少し(-104.7±83.8 kcal vs. 144.2±96.9 kcal,P=0.03),これは身体組成とは独立したものであった。
空腹感+満腹感+食欲のスケールについては,ベースライン(Food Array I)前後ではいずれも両群同程度であったが,6ヵ月後(Food Array II)前のミルクシェーク様飲料水負荷後では,metformin群でプラセボ群にくらべ,空腹感のスケールが有意に低下し(-1.5±5.6 vs. +18.6±6.3,P=0.013),満腹感のスケールが有意に上昇した(+10.1±6.2 vs. -12.8±7.0,P=0.01)。
●結論 高インスリン血症の肥満児におけるmetformin治療による減量効果は,エネルギー摂取量を減少させる作用と関連していることが示唆された。