編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Maresh MJ, Holmes VA, Patterson CC, Young IS, Pearson DW, Walker JD, McCance DR; Diabetes and Pre-eclampsia Intervention Trial Study Group : Glycemic targets in the second and third trimester of pregnancy for women with type 1 diabetes. Diabetes Care. 2015; 38: 34-42. [PubMed]

今回の前向きコホート研究から,母胎や新生児のアウトカムと,second trimester(14~27週)またはthird trimester(28週~)におけるHbA1cレベルが連続的に密接に関連していること,さらに重症の低血糖を起こすことなく,最低限HbA1c値を6.5%未満,可能であれば6.0%未満に維持することの重要性が証明された,といえる。
現状のADAやNICEのガイドラインでは,第三期の指標を食後血糖値としているが,今後はHbA1cも含めるべきであろう。【河盛隆造

●目的 1型糖尿病の妊婦において,妊娠中期および妊娠後期の血糖コントロール(HbA1c,末梢血の血糖プロフィル)と,母体および新生児アウトカムとの関連を検討した。
●デザイン 前向きコホート(DAPITは無作為,プラセボ対照,多施設)。
●試験期間 DAPITの登録期間は2003年4月~2008年6月。
●対象患者 725例:妊娠8~22週でDAPITに参加した1型糖尿病の女性のうち,大奇形のない乳児を出産した女性。平均29.6歳,HbA1cは妊娠26週時6.7%,34週時6.6%,末梢血管の空腹時/食前血糖値は妊娠26週時6.4 mmol/L(115.2mg/dL),34週時6.0 mmol/L(108mg/dL),食後一時間の血糖値は妊娠26週時7.5mmol/L(135mg/dL),34週時7.2mmol/L(129.6mg/dL)。
●方法 妊娠26週時(576例),妊娠34週時(505例)のHbA1cの値により,対象者をそれぞれ5つ(<6.0%から≧7.5%まで0.5%きざみ)に分類し,妊娠アウトカムとHbA1c値との関連をオッズ比(OR)にて示した。また,妊娠26週および34週の前日の自己測定(8回/日)による空腹時/食前の平均血糖値(26週610例,34週546例),食後の平均血糖値(546例,447例)により,対象者をそれぞれ5つ(<5.0mmol/L[90mg/dL]から≧8.0mmol/L[144mg/dL]で0.5mmol/L[9mg/dL]きざみ)に分類し,有害妊娠アウトカムと血糖値との関連をORにて示した。ORは年齢,BMI,教育年数,社会的階級,民族,経産回数,喫煙,糖尿病罹患期間,妊娠前の微量アルブミン尿,ビタミン治療への割付け群,施設により調整した。
●結果 HbA1c値が高いほど,子癇前症,早期産,在胎週数に比べて大きい胎児(LGA),グルコース注入が必要となる新生児低血糖症,光線療法が必要となる高ビリルビン血症,および複合有害アウトカムの発生リスクが増加した。
妊娠26週時では,HbA1c 6.0~6.4%でLGAのリスクが有意に高くなり(オッズ比[OR]1.7,95%信頼区間1.0-3.0),また6.5~6.9%では早期産のリスク(OR 2.5,1.3-4.8),子癇前症のリスク(OR 4.3,1.7-10.8),新生児へのグルコース注入が必要となるリスク(OR 2.9,1.5-5.6),および複合有害新生児アウトカム(OR 3.2,1.3-8.0)が有意に高くなり,これらのリスクは,HbA1c値と相関した。妊娠34週時においても,同様の結果であった。
食前/食後の血糖値と母体・新生児アウトカムとの関連は,HbA1c値とアウトカムとの関連よりも弱かったが,複合有害アウトカムの発生リスクは食前血糖値6.0~6.9 mmol/L(108~124.2 mg/dL)で有意に増加した(OR 3.3,1.3-8.0)。
●結論 1型糖尿病の女性において,妊娠26週および34週時にHbA1c≧6.0%の場合,LGAのリスクが有意に増加し,HbA1c≧6.5%の場合,その他の有害アウトカム発生リスクが有意に増加した。本結果により,妊娠期間中のHbA1c値の定期的管理は臨床的に有用である可能性が示唆された。