編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Kalyani RR, Metter EJ, Egan J, Golden SH, Ferrucci L: Hyperglycemia predicts persistently lower muscle strength with aging. Diabetes Care. 2015; 38: 82-90. [PubMed]

日本の糖尿病患者の半数以上が高齢者であることを考えると,今後は,糖尿病患者のサルコペニア発症をいかに予防するかということも重要な課題である。
本研究により,血糖コントロールの悪化に伴い筋力が低下すること,その関連はある程度は末梢神経障害で説明できるということが明らかになり,サルコペニア発症予防に対する血糖コントロールの重要性が示唆された。
さらに,その相関を示すのは筋力であって筋量ではなく,今後そのメカニズムを解明する点でも興味深い結果である。【綿田裕孝

●目的 高血糖症の重症度(HbA1c評価)は,筋力低下,筋肉量の減少,および筋肉の質の低下と関連するが,この関連は年齢や身体活動あるいは末梢神経障害などの交絡因子による影響は受けないという仮説を検証した。
●デザイン コホート研究。
●試験期間 平均追跡期間は1.9±2.2年。
●対象患者 984例:26~96歳で,2003~2011年にHbA1c値を1回以上測定し(ベースライン),大腿四頭筋および二重エネルギーX線測定法(DEXA)による評価を受けたBaltimore-Washingtonの一般住民。平均年齢はQ1(方法の項を参照) 58.82歳,Q2 64.60歳,Q3 67.75歳,Q4 68.29歳。
●方法 HbA1cの値により,対象者を4つに分類し(Q1<5.5%[262例],Q2 5.5~5.79%[246例],Q3 5.8~6.09%[216例],Q4 ≧6.1%[260例]),筋機能(下肢筋力,筋肉量,下肢筋肉の質)との関連を検討した。
●結果 筋力および筋肉の質は,HbA1cが低値から高値になるにつれて有意に減少した(ともにP<0.001)。
HbA1c値がQ4(上位四分位)の人では,Q1(下位四分位)の人に比べ,年齢,人種,性別,体重,および身長で調整後の筋力が有意に低く(-4.70±2.30 N・m,P for trend=0.02),さらに身体活動で調整後も有意であったが(P for trend=0.045),さらに末梢神経障害で調整後は境界ラインの有意差となった(P for trend=0.05)。HbA1c値がQ4の人では,Q1の人に比べ,人口動態で調整後の筋肉の質は有意に低かったが(-0.32±0.15 N・m/kg,P for trend=0.02),さらに体重と身長で調整後するとその差は減弱した(-0.25±0.15 N/m/kg,P for trend=0.07)。筋肉量は,HbA1c値がQ1~4(いずれの四分位の値)でも同様であった。
下肢筋力および筋肉の質は,HbA1cがQ4の高齢者では,Q1~Q3の高齢者に比べ,ともに低値であった。筋肉量については,高齢者のHbA1c値との一貫した関連は示されなかった。HbA1c値は,いずれの筋肉アウトカムとも,有意な相互関係を示さなかった。
●結論 高血糖症は加齢とともに下肢筋力と持続的な関連を示すが,この関連は少なくともある程度は末梢神経障害が影響している可能性が示唆された。