編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Huxley RR, Peters SA, Mishra GD, Woodward M: Risk of all-cause mortality and vascular events in women versus men with type 1 diabetes: a systematic review and meta-analysis. Lancet Diabetes Endocrinol. 2015; 3: 198-206. [PubMed]

糖尿病治療の進歩にもかかわらず,1型糖尿病患者は一般人口よりも死亡率が高い。とくに高齢者での心血管疾患による死亡率は10倍以上である。性差があることもよく知られているが,今回の検討は約20万人の1型糖尿病患者を対象に1万5千人の死亡について,性差と全死亡および疾患別死亡をみた初めてのメタ解析である。
その結果,全死亡,致死性/非致死性冠動脈疾患,致死性/非致死性脳卒中のいずれも女性のほうが男性よりもリスクが高いことが確認された。女性では冠動脈の石灰化が多く,内皮細胞機能障害などがその理由としてあげられている。また,女性では思春期のインスリン抵抗性により血糖コントロールが不良であること,しばしば摂食障害を伴うこと,初経・月経異常・早期閉経などに伴う視床下部-下垂体-副腎系の障害などが関与する因子であろう。いずれにしても,1型糖尿病と心血管疾患との関連については,人種に加えて性差を考慮していく必要があるといえる。【片山茂裕

●目的 1型糖尿病と全死亡および死因別死亡との関連に性差がみられるかを検討した。
一次エンドポイントは全死亡。
二次エンドポイントは死亡,冠動脈性心疾患,脳卒中,心血管疾患(冠動脈疾患+脳卒中+その他の心血管疾患の複合),腎疾患,癌,および事故死+自殺の複合。
●デザイン メタアナリシス。
●試験期間
●対象患者 1型糖尿病患者214,114例(15,273イベント)。
26研究(登録研究19件,前向きコホート研究6件,開業医の研究データベース1件),論文30件。
研究の採用基準:1型糖尿病の男性および女性における,1型糖尿病を伴わない対照に対する,全死亡または死因別死亡の標準化死亡比(SMR)またはハザード比を報告している研究。
研究の除外基準:1型糖尿病のみならず2型糖尿病も含めた推定値を報告している研究,推定値のバラツキに関する情報を報告していない研究。
●方法 PubMedより,1966年1月1日から2014年11月26日迄に発表された論文を検索。
inverse variance weightingによるランダム効果メタアナリシスを実施し,1型糖尿病とエンドポイント発生に関する性特異的なSMRおよび統合比を求めた。
●結果 全死亡と1型糖尿病の関連について,197,396例,死亡14,682件を解析した結果,女性のほうが男性よりもリスクが37%高く(統合SMR 1.37,95%信頼区間1.21-1.56,P<0.0001),出版バイアスは認められなかったが,試験間で有意な異質性を認めた(I2=86%,P<0.0001)。
致死性/非致死性冠動脈疾患との関連について,59,383例,1,427イベントを解析した結果,女性のほうが男性よりもリスクが154%高かった(統合SMR 2.54,1.80-3.60,P<0.0001,I2=67.86%,P=0.33)。
致死性/非致死性脳卒中(45,677例中371件)(統合SMR 1.37,1.03-1.81,P=0.0308),心血管死(75,983例中2,166件)(統合SMR 1.86,1.62-2.15,P<0.0001),致死性腎疾患(30,332例中142件)(統合SMR 1.44,1.02-2.05,P=0.0404)のいずれにおいても,女性のほうが男性よりもリスクが上昇し,試験間の異質性を認めなかった。癌死,事故死+自殺については,いずれも性差は認められなかった。
●結論 1型糖尿病の女性は,1型糖尿病の男性に比べ,全死亡リスクが約40%高く,致死性/非致死性血管イベント発生リスクが2倍になることが示された。