編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Trevest K, Treadway H, Hawkins-van der Cingel G, Bailey C, Abdelhafiz AH: Prevalence and determinants of anemia in older people with diabetes attending an outpatient clinic: a cross-sectional audit. Clin Diabetes. 2014; 32: 158-62. [PubMed]

糖尿病患者では,非糖尿病で同程度の腎機能例と比較すると,貧血を生じるリスクが2~3倍になるといわれている。また,高齢者では貧血が生活の質や転倒,身体活動の低下,認知症,感染症,死亡の予測因子になることが知られている。本調査は75歳を超える高齢者糖尿病患者での貴重な検討である。こうした患者では貧血の罹患率は59%と非常に高率であり,そのおもな予測因子は高齢および糖尿病の長期罹患であった。metforminやpioglitazone,ACE阻害薬,ARBなどの薬剤との関連はみられなかった。その疫学的成因は今回の調査からは不詳であり,今後さらなる検討が必要であろう。【片山茂裕

●目的 75歳以上の糖尿病患者において,貧血の罹患状況および決定因子を検討した。
●デザイン 横断研究,単施設(イギリスの地域総合病院の高齢者糖尿病科)。
●試験期間
●対象患者 115例:糖尿病科に長期間(2年超)通院している75歳超の糖尿病患者。平均83.6±5.2歳,男性49.6%,自宅に住居している例88%,糖尿病罹病期間平均16.0年,慢性腎臓病(eGFR<60 mL/分/1.73m2)を有する例66.1%。
●方法 貧血検出の定義は,過去24ヵ月平均ヘモグロビン値(Hb)<12.0g/dL(女性),<14.0g/dL(男性)とした。
貧血の診断の決定因子として,高齢(≧85歳),糖尿病罹患期間が長期(>15年),コントロール不良の糖尿病(A1c>7.5%),複数の併存疾患(>4疾患),慢性腎臓病の合併(eGFR<60mL/分/1.73m2と定義)を含む5つの因子について検討した。オッズ比(OR)の多変量調整では,これらの5つの因子を変数とした。
●結果 貧血が認められたのは68例(59%)(男性35例,女性33例)であった。
貧血のある例とない例で有意な差を認めたのは,Hb(貧血あり11.3 g/dL vs. 貧血なし13.4 g/dL,P=0.01),年齢(84.6歳 vs. 82.1歳,P=0.01),糖尿病罹患期間(17.7年 vs. 13.5年,P=0.03),eGFR(47.8/分/1.73m2 vs. 58.1 mL/分/1.73m2,P=0.01)であった。
単変量logistic 回帰分析の結果,5つの因子のうち,年齢≧85歳(オッズ比[OR] 4.8,95%信頼区間2.1-7.8,P=0.001),糖尿病罹患期間>15年(OR 2.9,1.3-6.2,P=0.01),CKD合併(OR 3.4,1.5-7.6,P=0.002)の3つが貧血の有意な予測因子となったが,多変量調整後には高齢(OR 4.6,1.9-8.1,P=0.001)および糖尿病罹患期間(OR 2.9,1.2-6.9,P=0.01)は有意性を維持したが,CKD(OR 2.4,0.96-5.7,P=0.06)は境界ラインとなった。
●結論 75歳以上の糖尿病患者において,貧血の罹患率は59%と高く,そのおもな予測因子は高齢および糖尿病の長期罹患であった。一方,CKDは直接原因ではなく,むしろメディエーター的な存在である可能性が示唆された。