編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Lin JJ, Gallagher EJ, Sigel K, Mhango G, Galsky MD, Smith CB, LeRoith D, Wisnivesky JP: Survival of patients with stage IV lung cancer with diabetes treated with metformin. Am J Respir Crit Care Med. 2015; 191: 448-54. [PubMed]

これまで,metforminは乳がん,前立腺がん,大腸がん患者の生存率を向上させることが明らかになっているが,本研究は肺がん患者においても生存率を延長させることを示しており,大変貴重なデータである。これまでも,肺がん患者に対するmetforminの影響に関するデータはあったが,本検討は,病期と病型をある程度限定し,さらに交絡因子を補正しても,有用性が示されている点が重要である。【綿田裕孝

●目的 非小細胞肺がんIV期の糖尿病患者において,metformin投与は全生存期間を延長するか検討した。
エンドポイントは全生存期間。
●デザイン コホート(米国の地域住民をベースにしたがんのデータベース)。
●試験期間
●対象患者 750例:65歳以上で非小細胞肺がんIV期の組織学的確定診断を受けた糖尿病患者。平均年齢はmetformin投与群72.2歳,非投与群72.7歳,男性は52.8%,57.8%。
除外基準:健康維持機構(米国の会員制医療保険組織)の会員,パートBメディケア保険に適応しない者,保険会社からのパートD補償に適応しない者,80歳超,ステージIV~Vの慢性腎臓病または末期腎臓病,糖尿病治療薬を服用していない患者,養護施設の入所者。
●方法 米国のSurveillance, Epidemiology, and End Results (SEER) registry(2007~2009年)のデータを使用。
metforminの肺がん死に対する抑制効果を検討するため,肺がん診断時にmetforminを投与していた患者(metformin投与群458例)と,投与していなかった患者(非投与群292例)の生存期間を,logisticモデルを用いた傾向スコア解析(社会人口学,併存疾患,がん患者の日常生活制限の程度を示す指標,糖尿病治療薬,および糖尿病の重症度スコアにより調整)により比較検討した。また,Cox回帰を用いたinverse probability weighting 解析により,ハザード比(HR)を求めた(傾向スコア,ポジトロン放出断層撮影スキャン,腫瘍の特性,化学療法の実施により調整)。
●結果 肺がん診断時におけるmetformin投与群のmetformin投与期間(中央値)は26.7ヵ月であった。
生存期間(中央値)は,metformin投与群5ヵ月(四分位範囲12ヵ月),非投与群3ヵ月(四分位範囲8ヵ月)(P<0.001)であった。
metformin投与群は非投与群にくらべ,生存期間の有意な改善と関連し(HR 0.80,95%信頼区間0.71-0.89),metformin投与による改善は傾向スコアの五分位で層別化後(HR 0.79,0.61-0.93),および傾向スコアでマッチング後(HR 0.73,0.62-0.87)のいずれにおいても維持された。
●結論 非小細胞肺がんIV期の糖尿病患者において,metformin使用は全生存期間を改善した。本結果より,metforminは抗がん作用を有する可能性が示唆された。