編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Dunkler D, Kohl M, Heinze G, Teo KK, Rosengren A, Pogue J, Gao P, Gerstein H, Yusuf S, Oberbauer R, et al.; ONTARGET Investigators : Modifiable lifestyle and social factors affect chronic kidney disease in high-risk individuals with type 2 diabetes mellitus. Kidney Int. 2015; 87: 784-91. [PubMed]

病期の進んだCKDで,非健康的な生活習慣や社会的な低階層,貧困がCKDと関連することは報告されているが,早期CKDの進展/発症と生活習慣や社会的要因との関連を検討した成績はほとんどない。本検討はONTARGETのpost-hoc解析である。社会的ネットワーク(SNS)や教育レベルが高いほど,また中等度の飲酒者や身体活動を毎日行う者でCKDのリスクが減少していたことは,大変興味深い。SNSが高いことは,糖尿病のような慢性疾患においては自己管理を高め,合併症も減らすと考えられる。SNSが低い高齢の糖尿病患者ではテロメアが短いことが報告されており,社会的環境が細胞の寿命に関与する可能性などが示唆されている。今後のCKD治療への新しい介入に繋がることを期待したい。【片山茂裕

●目的 2型糖尿病患者において,修正可能な生活習慣および社会的要因と,早期慢性腎臓病(CKD)への進展/発症との関連を検討した。
一次エンドポイントはCKDへの進展/発症(GFRの低下>5%/年,末期腎不全への進展,微量アルブミン尿,または顕性蛋白尿の複合)。
●デザイン 観察研究(ONTARGETのpost-hoc解析)。
●試験期間 試験期間は5.5年。
●対象患者 6,972例:ONTARGET参加者のうち,顕性蛋白尿を伴わない糖尿病患者。
年齢(中央値)66歳,女性31.97%。
●方法 生活習慣/社会的要因(喫煙および飲酒,身体活動,ストレス,財政的な悩み,社会的ネットワークスコア[SNS,社会的交流の数および個人的関係の数をポイント化],および教育)と,エンドポイント発生との関連を検討した。交絡因子(年齢,糖尿病の罹病期間,GFR,アルブミン尿,性別,BMI,血圧,空腹時血糖,ACE阻害薬/ARBの使用)により調整した。
●結果 CKDへの進展/発症は2,182例(31%),全死亡は1,028例(15%)であった。
SNS第3三分位(高値)の参加者では,第1三分位(低値)の参加者にくらべ,CKD発症リスクが11%低く(オッズ比0.89,95%信頼区間0.81-0.97,p<0.001),全死亡リスクも同様に低かった(オッズ比0.78,0.69-0.88,p<0.001)。この結果について,交絡因子に加え,アルコール摂取,喫煙,身体活動,教育レベル,Mini-Mental State Examinationスコアで調整しても,SNSとCKDとの関連は変化しなかった。
教育はCKDリスクと有意に関連し,大学教育を受けた参加者では教育を受けていない参加者にくらべ,CKDリスクが有意に減少した(オッズ比0.65,0.48-0.88)。
中等度の飲酒者は,非飲酒者にくらべてCKD発症リスクが有意に減少した(オッズ比0.79,0.69-0.89,p=0.001)。身体活動を毎日行う者は,座りがちの者にくらべ,CKD発症リスクが有意に減少した(オッズ比0.76,0.65-0.88)。喫煙はCKDとは関連しなかったが,喫煙者では非喫煙者にくらべて全死亡が有意に増加した(p<0.001)。ストレスと財政的な悩みは,CKDと関連しなかった。
●結論 糖尿病を伴う心血管疾患の高リスク患者において,生活習慣は腎臓の健康状態の決定要因であることが示された。