編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Papademetriou V, Lovato L, Doumas M, Nylen E, Mottl A, Cohen RM, Applegate WB, Puntakee Z, Yale JF, Cushman WC; ACCORD Study Group : Chronic kidney disease and intensive glycemic control increase cardiovascular risk in patients with type 2 diabetes. Kidney Int. 2015; 87: 649-59. [PubMed]

病期の進んだCKDでは,心腎連関と呼ばれているように腎機能の低下に伴い心血管イベントが増加することが明らかである。本検討は,軽度から中等度のCKD(ステージⅠ~Ⅲ)合併が心血管アウトカムに及ぼす影響を検討したACCORD試験のpost-hocサブ解析である。まず,ステージⅠ~ⅢのCKD患者ではCKDのない患者に比べて心血管イベントが増加し(ハザード比は約1.9倍),ここでも心腎連関がみられることが明らかとなった。またCKD患者では,強化血糖コントロール群では標準治療群に比べ,全死亡・心血管死が約1.3~1.4倍高率であった。CKD患者ではCKDのない患者に比べて低血糖の頻度が約2倍に達していることから,CKD患者では経口血糖降下薬やインスリンの投与量などに細心の注意が必要であり,新しい治療法が求められている。【片山茂裕

●目的 高リスクの2型糖尿病患者において,軽度/中等度の慢性腎臓病(CKD)(ステージI~III)の合併が心血管疾患および全死亡に与える影響を検討し,さらにCKD合併の有無を問わず強化血糖コントロールが心血管アウトカムにおよぼす影響を検討した。
一次エンドポイントは非致死性心筋梗塞,非致死性脳卒中,または心血管死の複合。
二次エンドポイントは全死亡,心血管死,非致死性心筋梗塞,脳卒中,うっ血性心不全,血行再建術,主要冠動脈イベントなど。
●デザイン ACCORD(無作為化比較試験)のpost-hocサブ解析。
●試験期間
●対象患者 10,142例:ACCORD参加者のうち,腎機能データが得られた2型糖尿病患者。
ACCORDの採用基準:2型糖尿病,HbA1c≧7.5%,40~79歳で心血管疾患の既往を有する者,または55~79歳でアテローム性動脈硬化,アルブミン尿,左室肥大の解剖学的証拠を有し,心血管疾患の危険因子(脂質異常症,高血圧,喫煙,肥満)をさらに2つ以上有する者。
ACCORDの除外基準:CKDステージIVおよびV,頻回/最近発生した重度低血糖イベント,BMI>45,血清クレアチニン値>1.5 mg/dLなど。
●方法 ACCORDでは,強化血糖コントロール群(目標HbA1c<6.0%),標準治療群(目標HbA1c 7.0~7.9%)にランダム化。
本サブ解析では,全体をCKD合併患者(3,636例)と非合併患者(6,506例)にわけ,CKD合併がエンドポイントに与える影響,およびCKD合併例または非合併例における強化血糖コントロールの影響について検討した。
CKDは,2013 National Kidney Foundation-Kidney Disease Outcomes Quality Initiative five-stage classification systemにより,軽度CKDはステージI(eGFR≧90 ml/分/1.73m2,尿中アルブミン/クレアチニン比≧30μg/mg)およびステージII(eGFR 60~89 mL/分/1.73m2,尿中アルブミン/クレアチニン比≧30μg/mg),中等度CKDはステージIII(eGFR 30~59 mL/分/1.73m2,アルブミン尿の有無は問わない)と定義した。
●結果 複合一次エンドポイント発生リスクは,CKD合併患者(3.21%)で,非合併患者(1.60%)よりも有意に高かった(ハザード比[HR]1.866,95%信頼区間1.651-2.110,p<0.0001)。また,二次エンドポイント発生リスクも,CKD合併患者で非合併患者よりも高かった(非致死性心筋梗塞HR 1.62,1.38-1.90,脳卒中HR 2.41,1.81-3.22,全死亡HR 1.97,1.70-2.29,心血管死HR 2.19,1.78-2.73,主要冠動脈疾患HR 1.56,1.39-1.75,うっ血性心不全HR 3.20,2.62-3.89)。
CKD合併患者においては,標準療法にくらべ,強化血糖低下療法のほうが,全死亡(ハザード比1.306,1.065-1.600,p=0.01),心血管死(1.412,1.052-1.892,p=0.02))ともに有意に高く,交絡因子(年齢,性別,BMI,HbA1c,収縮期血圧,喫煙状況,心血管疾患および心不全の既往,インスリンのよび降圧薬の使用)で調整後も有意であった。CKD非合併患者でも同様な傾向がみられたが,統計的有意性は示されなかった。
●結論 2型糖尿病の高リスク患者において,軽度~中等度のCKD合併は心血管疾患リスク増大と有意に関連した。また,強化血糖コントロールは心血管死および全死亡のリスクを有意に増加させることが示された。