編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Herman WH, Ye W, Griffin SJ, Simmons RK, Davies MJ, Khunti K, Rutten GE, Sandbaek A, Lauritzen T, Borch-Johnsen K, et al.: Early Detection and Treatment of Type 2 Diabetes Reduce Cardiovascular Morbidity and Mortality: A Simulation of the Results of the Anglo-Danish-Dutch Study of Intensive Treatment in People With Screen-Detected Diabetes in Primary Care (ADDITION-Europe). Diabetes Care. 2015; 38: 1449-55. [PubMed]

ADDITION-Europe(Lancet. 2011;378:156-67. [PubMed])では,5.3年間の観察で複合心血管イベント発生率は強化治療群7.2%であり,通常治療群で8.5%であった。そのハザード比は0.83 (95%信頼区間 0.65-1.05)と低下したものの,有意差には至らなかった。
今回の検討は,ADDITION-Europeのデータを用い,強化治療群(スクリーニング実施+早期治療介入),通常治療群(スクリーニング実施+通常治療),治療開始が3年遅延群,治療開始が6年遅延群の4通りのシナリオをシミュレーションし,複合心血管イベントと全死亡の絶対リスクと相対リスクを算出したものである。通常治療群と強化治療群と3年遅延群間の血糖,血圧,総コレステロール濃度は6.5-6.7%,135-138mmHg,162-170mg/dLと大差ないが,6年遅延群ではそれぞれ8.4%,150mmHg,182mg/dLとかなり悪化している。それにもまして,3年遅延群で複合心血管イベントと全死亡の増加が明らかであり,早期の2型糖尿病のスクリーニングにより発症と臨床的診断の間隔をできるだけ短くし,迅速に多角的治療を開始することが重要といえる。【片山茂裕

●目的 2型糖尿病のスクリーニング実施と早期治療介入の有効性を,スクリーニング非実施かつ晩期治療介入と比較した(ADDITION-Europeのサブ解析)。
●デザイン ADDITION-Europeは群ランダム化比較試験,多施設(英国,デンマーク,オランダ,343施設)。
●試験期間 コホート。
●対象患者 3057例:ADDITION-Europeに参加した40~69歳の非糖尿病例。
●方法 糖尿病の進展,合併症,併発疾患,QOL,費用をシミュレーションする妥当性の検証されたミシガンモデルを用いて,ADDITION-Europe終了時の強化治療群(スクリーニング実施+早期治療介入:1678例),ADDITION-Europe終了時の通常治療群(スクリーニング実施+通常治療:1379例),4年目に治療を開始した非スクリーニング+3年診断遅延群(1379例),7年目に治療を開始した非スクリーニング+6年診断遅延群(1379例)のシナリオをシミュレーションし,複合心血管イベントと全死亡の絶対リスクと相対リスクを算出した。
●結果 5年後の複合心血管イベント率は,強化治療群7.7±0.7%,通常治療群7.9±0.7%,3年診断遅延群11.2±0.8%,6年診断遅延群12.8±0.8%,全死亡率は,強化治療群6.0±0.6%,通常治療群6.0±0.6%,3年診断遅延群7.2±0.7%,6年診断遅延群7.9±0.7%であった。
通常治療群では3年診断遅延群に比べて,複合心血管イベントの絶対リスク低下(ARR)は3.3%,相対リスク低下(RRR)は29%で,全死亡のARRは1.2%,RRRは17%であった。また、6年診断遅延群に比して通常治療群では、複合心血管イベントのARRは4.9%,RRRは38%で,全死亡のARRは1.9%,RRRは24%であった。
●結論 2型糖尿病の早期診断と治療によるベネフィットは大きく,診断後の血糖,血圧,コレステロール治療の強度は,治療開始時期よりも重要性が小さかった。2型糖尿病のスクリーニングにより発症と臨床的診断の間隔を短くし,迅速に多角的治療を開始することが勧められる。