編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Nielsen SF, Nordestgaard BG: Statin use before diabetes diagnosis and risk of microvascular disease: a nationwide nested matched study. Lancet Diabetes Endocrinol. 2014; 2: 894-900. [PubMed]

スタチンの使用が2型糖尿病患者の心血管イベントを防止することは,広く認知され実証されているが,一方,糖代謝に悪影響を与え,細小血管合併症の発症や進展を促すとする臨床研究が多く発表されていた。
今回の大規模な検討から,スタチン使用が2型糖尿病や細小血管合併症の発症を早めることはないことが示された。【河盛隆造

●目的 糖尿病患者では,スタチンを使用すると糖尿病網膜症,糖尿病神経障害,糖尿病腎症,および足壊疽の発症リスクが上昇するという仮説を検証した。
一次エンドポイントは糖尿病網膜症,糖尿病神経障害,糖尿病腎症,および足壊疽。
●デザイン コホート研究。
●試験期間 追跡期間は中央値2.7年,215,725・年。
●対象患者 62,716例:1996年1月1日~2009年12月31日に糖尿病の診断を受けた40歳以上のデンマークの住人。
●方法 患者のデータはDanish Patient Registry,薬剤使用に関するデータはDanish Registry of Medicinal Product Statisticsを使用。
コンピューター生成表を用いて,糖尿病集団から,診断前に定期的にスタチンを使用していた「スタチン使用例」(15,679例)を無作為に抽出し,さらに性別,糖尿病診断時の年齢(1年内),糖尿病診断の年度,および心血管疾患の既往(propensityスコア)で1:3にマッチングさせた「スタチン非使用例」(47,037例)を無作為抽出した。
糖尿病診断後の年数を尺度とし,Cox回帰モデルを用いて,エンドポイント発生のハザード比(HR)と95%信頼区間を算出した。Coxモデルは,性別,診断時の年齢,診断法,経口血糖降下薬/インスリン/降圧薬の用量,糖尿病診断前の心血管疾患,生年,最高水準の教育レベル,および人種により調整した。
●結果 追跡215,725人年において,糖尿病網膜症の発症は2,866例,糖尿病神経障害の発症は1,406例,糖尿病腎症の発症は1,248例,および足壊疽は2,392例であった。
スタチン非使用例にくらべ,スタチン使用例では糖尿病網膜症(ハザード比[HR] 0.60,95%信頼区間0.54-0.66,p<0.0001),糖尿病神経障害(HR 0.66,0.57-075,p<0.0001),足壊疽(HR 0.88,0.80-0.97,p=0.010)の発症リスクが有意に低かったが,糖尿病腎症(HR 0.97,0.85-1.10,p=0.62)は両群同様であった。これらの結果は死亡リスクで調整後も同様であり,またpropensityスコアでマッチング後,家庭医への訪問での調整後,および変数で層別化後も同様であった。全対象における糖尿病リスクの多変量調整HRは1.17(1.14-1.21,p<0.0001)であった。
●結論 糖尿病診断前のスタチン使用は細小血管疾患発症リスクを増加させなかった。スタチンが細小血管疾患発症を抑制するか否かについては,メンデル無作為化試験,望ましくはランダム化比較試験により検討すべきであろう。