編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Kautzky-Willer A, Kosi L, Lin J, Mihaljevic R: Gender-based differences in glycaemic control and hypoglycaemia prevalence in patients with type 2 diabetes: results from patient-level pooled data of six randomized controlled trials. Diabetes Obes Metab. 2015; 17: 533-40. [PubMed]

本研究は,対象をインスリンglargine群またはNPHインスリン群にランダム化し,その有効性と安全性を検討した,方法およびデザインが類似した6つの無作為化試験のメタ解析であるが,元となった研究のうち2つはアジアの研究でそのうちの1つは日本の臨床試験である。その意味では,日本人にも当てはまるデータと考えて良いかもしれない。【綿田裕孝

●目的 インスリン治療下の2型糖尿病患者において,性別が血糖コントロールおよび低血糖症発症に与える影響を検討した。
●デザイン 無作為化試験(6試験)の統合解析。
●試験期間
●対象患者 2,600例:1~2剤の経口糖尿病治療薬(SU薬,metformin,pioglitazone,rosiglitazone)を6ヵ月以上投与してもコントロール不良の,インスリン投与歴のない2型糖尿病患者。女性1,251例,男性1,349例,平均年齢はそれぞれ56.909歳(女性),57.469歳(男性),体重は72.550 kg,84.474 kg(p<0.001),BMIは28.663 kg/m2,28.047 kg/m2(p=0.002),2型糖尿病罹病期間は9.837年,10.128年,HbA1c値は8.993%,8.919%。
採用基準:20~80歳,BMI 20~40 kg/m2,HbA1c 7.5~12%。
除外基準:夜勤労働者,妊婦/授乳中,ケトアシドーシス既往,アルコール/薬物乱用歴,過去3ヵ月以内にインスリン/治験薬を使用,臨床的に関連のある身体/精神疾患。
●方法 対象をインスリンglargine群またはNPHインスリン群にランダム化し,その有効性と安全性を検討した,方法およびデザインが類似した6つの無作為化試験に参加した個々の患者データ(individual patient level)を統合。
対象を男女別にわけて,HbA1c値の変化,重度の低血糖症,および重度の夜間低血糖症などのアウトカムについて,ランダム効果モデルによるメタ解析を実施した。その際,アウトカムに影響する可能性のある変数(インスリンの種類,年齢,ベースラインのBMI,糖尿病罹病期間,ベースラインのHbA1c値,ベースラインのインスリン・metformin・SU薬の用量など)で調整した。
●結果 男性,女性ともに,インスリン投与により,HbA1c値はベースラインから経時的に有意に低下したが(男女ともにp<0.001 vs. ベースライン),試験終了時におけるHbA1c値の変化は男性のほうが女性よりも有意に大きかった(-1.36 vs. -1.22,p=0.002)。目標HbA1c値(<7%)達成率も,男性のほうが女性にくらべて高かった(32.99% vs. 26.54%,p=0.001)。また,試験終了時におけるインスリン用量(/kg)は,男性にくらべて女性のほうが有意に多かった(0.418 U/kg vs. 0.466 U/kg,p=0.001)。
重度の低血糖症および重度の夜間低血糖症については,女性のほうが男性にくらべ,発症率および発症リスクともに有意に高かった(重度の低血糖症3.28% vs. 1.85%,p<0.05,オッズ比[OR] 1.80,95%信頼区間1.08-3.00,p=0.02,重度の夜間低血糖症2.24% vs. 0.59%,p<0.001,OR 3.80,1.72-8.42,p=0.001)。
●結論 インスリン治療下においては,男性にくらべ,女性のほうがHbA1c値の改善効果が小さく,低血糖症の発症が多いことが示された。本結果を踏まえ,血糖コントロールと低血糖症リスクとの適正なバランスを維持するために,医師はとくに女性には,注意深く観察してインスリン用量を決めるべきであることが示唆された。