編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Shan Z, Ma H, Xie M, Yan P, Guo Y, Bao W, Rong Y, Jackson CL, Hu FB, Liu L: Sleep duration and risk of type 2 diabetes: a meta-analysis of prospective studies. Diabetes Care. 2015; 38: 529-37. [PubMed]

睡眠時間と糖尿病の発症の間にはU字型の関係があるとする報告があるが,必ずしも意見が一致しているわけではない。最近多くの前向き試験が報告されており,今回の検討はそれらのメタ解析である。2型糖尿病発症リスクがもっとも低いのは睡眠時間7~8時間/日であり,2糖尿病発症リスクは睡眠時間が7時間/日より1時間短くなると9%増加し,1時間長くなると14%増加した。適切な睡眠時間は2型糖尿病発症の遅延または予防において重要である。
動物実験では,睡眠時間が短縮すると,肝糖新生が増加し末梢での糖利用が低下する,すなわち耐糖能が低下しインスリン抵抗性が増加することが示されている。睡眠時間の延長での糖尿病発症の機序は必ずしも明らかではないが,うつ病や社会的・経済的地位の低さや他の疾患の合併や身体活動の低下などが挙げられている。【片山茂裕

●目的 睡眠時間の長短が2型糖尿病発症に及ぼす影響を検討した。
●デザイン メタアナリシス。
●試験期間 追跡期間(中央値)は7.5年(範囲2.5~16年)。
●対象患者 482,502例:前向き観察研究10試験(11報告)。
試験の採用基準:関心のある曝露が睡眠時間の試験,評価者が睡眠時間の長短により対象を3つ以上にカテゴリー分けして相対リスク(RR)および95%信頼区間(CI)を報告している試験。
試験の除外基準:動物実験,臨床試験,横断研究,症例対照研究,レビュー,解説書,レター,他の関連について研究している試験。
●方法 PubMED(Medline)およびEmbaseより,睡眠時間の長さと2型糖尿病発症リスクとの関連を検討している前向き研究を,検索語("Diabetes Mellitus" [Mesh] OR "diabetes" [All Fields]) AND sleep)を用いて検索した(2014年3月20日まで)。2名が独立して抽出し,相違は主任研究者との議論により解決した。
睡眠時間と2型糖尿病リスクとの関連について,セミパラメトリック法とパラメトリック法を用いて解析した。セミパラメトリック法では,短い睡眠時間または長い睡眠時間に関する試験の各対象者を,それぞれ調整して3つのカテゴリーに統一し(もっとも短い,2番目に短い,対照,あるいはもっとも長い,2番目に長い,対照),ランダム効果モデルを用いて2型糖尿病の統合RRを算出した。パラメトリック法では,Greenlandによるランダム効果用量反応メタ解析により,睡眠時間の各カテゴリーの相関推定値をlog RRにより推定してその傾向を算出した。
●結果 追跡期間における2型糖尿病の発症は18,443例であった。
9試験(10報告)において,睡眠時間の長さと2型糖尿病発症リスクとの間にU型の用量反応関係が観察され,リスクがもっとも低い睡眠時間は7~8時間/日であった。
8論文(9報告)におけるセミパラメトリック法解析では,睡眠7時間/日(対照)にくらべ,2番目に短い睡眠時間(6時間)の2型糖尿病発症の統合RRは1.06(95%信頼区間1.01-1.11)で異質性は認められなかったが(I2=7.5%,p=0.37),もっとも短い睡眠時間(<5時間)の統合RRは1.37(1.18-1.59)で有意な異質性を認めた(I2=57.1%,p=0.017)。睡眠7時間/日にくらべ,7時間未満/日から1時間短縮するごとの,2型糖尿病発症の統合RRは1.09(1.04-1.15)で,有意な異質性を認めた(I2=63.5%,p=0.005)。
長い睡眠時間との関連
7試験におけるセミパラメトリック解析では,2型糖尿病発症の統合RRは,2番目に長い睡眠時間(8時間/日)では1.11(0.97-1.28),もっとも長い睡眠時間(≧9時間/日)では1.40(1.08-1.80)であり,いずれも有意な大きい異質性を認めた(I2=59.0%,p=0.023,I2=75.8%,p<0.001)。
6試験における長時間睡眠の用量反応解析では,睡眠7時間/日にくらべ,7時間/日から睡眠時間が1時間延長するごとの統合RRは1.14(1.03-1.26)で,有意な大きい異質性を認めた(I2=79.1%,p<0.001)。睡眠7時間にくらべ,1時間延長するごとの絶対リスク差は106例/100,000人・年であった。
●結論 前向き研究の用量反応メタ解析の結果,睡眠時間の長さと2型糖尿病発症リスクとの間にU型の関連が示され,2型糖尿病発症リスクがもっとも低いのは睡眠時間7~8時間/日であった。睡眠時間が短くても長くても2型糖尿病発症リスクは有意に上昇し,適切な睡眠時間は2型糖尿病発症の遅延または予防において重要であることが示唆された。