編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Huang CC, Weng SF, Tsai KT, Chen PJ, Lin HJ, Wang JJ, Su SB, Chou W, Guo HR, Hsu CC: Long-term Mortality Risk After Hyperglycemic Crisis Episodes in Geriatric Patients With Diabetes: A National Population-Based Cohort Study. Diabetes Care. 2015; 38: 746-51. [PubMed]

高齢の2型糖尿病患者において,高血糖緊急症エピソード(HCE)後の長期間における死亡リスクは,これまであまり検討されてこなかった。今回の検討では,死亡リスクはHCE後の1ヵ月間がもっとも高く,そのリスクは追跡6年後まで継続した。そもそもHCEを起こすということは,糖尿病の治療のコンプライアンスが悪く,血糖コントロールが極めて不良な状態にあるといえる。HCEを発症したら直ちに適切な教育と併存疾患を含めたより濃密な医療が必要であろう。【片山茂裕

●目的 高齢の2型糖尿病患者において,高血糖緊急症エピソード(HCE)後の長期間における死亡リスクを検討した。
●デザイン 後ろ向きコホート研究。
●試験期間 追跡期間は2011年まで。
●対象患者 13,551例:高齢(65歳以上)の2型糖尿病患者で,2000年1月1日~2002年12月31日にHCEの診断を受けた4,517例(HCE群),非HCEの9,034例(対照群)。平均年齢はHCE群71.0±7.4歳,対照群71.0±7.35歳(p=0.008),男性の割合はそれぞれ49.2%,49.0%(p=0.005)。
●方法 台湾の国民健康保険調査データベース(National Health Insurance Research Database:NHIRD)の糖尿病コホート(LHDB)のデータを使用。2000年1月1日~2002年12月31日の間にHCEと診断された患者を同定し,さらに対照として,非HCEの患者をpropensityスコア(糖尿病診断時の年齢[±30日],糖尿病診断からHCE発症時までの期間,性別,併存疾患,月収)で1対2(HCE vs. 非HCE)にマッチングさせて抽出した。
死亡リスクは,HCE群の対照群に対する発生率比(IRR)をconditional Poisson回帰により算出して検討した。また,separate Cox 比例ハザード回帰分析を実施し,HCE,年齢,性別,併存疾患(高血圧,腎疾患,冠動脈疾患,脳卒中,癌,慢性閉塞性肺疾患,うっ血性心不全,肝疾患),および月収で調整後のハザード比(HR)を算出した。
さらに対象を,前期高齢者(65~74歳),後期高齢者(75~84歳),末期高齢者(85歳以上)の3つにカテゴリー分けした検討も実施した。
●結果 追跡期間における死亡は,HCE群1,634例(36.2%),対照群1,692例(18.7%)で,IRR 2.82(95%信頼区間2.58-3.08であった。死亡リスクは,HCE後の1ヵ月間がもっとも高く(IRR 26.56,95%信頼区間17.97-39.27),そのリスクは追跡6年後まで継続したが(IRR 1.49,1.23-1.81),6年超では群間有意差が消失した。
年齢,性別,併存疾患,および月収で調整後も,HCEは死亡の独立した危険因子であり,HCE≧2エピソードの患者の対照に比した死亡のHRは4.53(95%信頼区間3.36-6.09),HCEが1エピソードの患者のHRは2.85(2.60-3.119)であった。その他,死亡の独立した有意な危険因子となったのは,高齢,男性,腎疾患,脳卒中,癌,慢性閉塞性肺疾患,およびうっ血性心不全であった。
●結論 2型糖尿病患者では,HCE発症から6年後までの死亡リスクが高かった。HCEを発症したら即座に,適切な教育,医療へのよりよいアクセス,医療提供者との効果的なコミュニケーション,そして併存疾患のコントロールなどを実施すべきであることが示唆された。