編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Leiter LA, Teoh H, Braunwald E, Mosenzon O, Cahn A, Kumar KM, Smahelova A, Hirshberg B, Stahre C, Frederich R, et al.; SAVOR-TIMI 53 Steering Committee and Investigators : Efficacy and safety of saxagliptin in older participants in the SAVOR-TIMI 53 trial. Diabetes Care. 2015; 38: 1145-53. [PubMed]

高齢社会あるいは超高齢社会を迎えて,高齢者の糖尿病治療は大きな問題となってきている。しかしながら,これまでの大規模介入試験には高齢者(65歳以上)や超高齢者(75歳以上)をあまり含まないことが多かった。SAVOR-TIMI 53は高齢者および超高齢者をそれぞれ51.9%,14.1%含んでおり,高齢者・超高齢者におけるsaxagliptinの安全性と心血管系への影響を検討した事後解析がなされた。その結果,高齢者および超高齢者におけるsaxagliptinの全心血管疾患に対する安全性が示されたことは,高齢者糖尿病治療における本薬剤の有用性を明らかにするものであり,その臨床的意義は大きいといえる。ただ,心不全による入院のリスクは年齢に関わらず増加していたので,この点には留意すべきである。【片山茂裕

●目的 心血管疾患の既往/複数の血管疾患の危険因子を有する2型糖尿病患者のうち,高齢者(65歳以上)または超高齢者(75歳以上)におけるsaxagliptinの安全性と心血管系への影響を検討した。
一次エンドポイントは,心血管死+非致死性心筋梗塞+非致死性脳梗塞の複合。
二次エンドポイントは,一次エンドポイントの各項目+心不全による入院+冠血行再建術+不安定狭心症の複合。
●デザイン 無作為,二重盲検,プラセボ対照,多施設(788施設,26ヵ国,6大陸)。
●試験期間 登録期間は2010年5月~2011年12月,追跡期間は2.1年(中央値)。
●対象患者 16,492例:心血管疾患(40歳以上で冠動脈/脳血管/末梢血管系のアテローム性動脈硬化イベント)の既往/複数の血管疾患危険因子(男性55歳以上,女性60歳以上。脂質異常症,高血圧,または喫煙)を有する2型糖尿病患者。高齢者(中央値71歳)は8,561例(51.9%),超高齢者(中央値78歳[76~80歳])は2,330例(14.1%)。
除外基準:現在/6ヵ月以内のインクレチンベースの治療,長期透析,腎臓移植,血清クレアチニン値>60 mg/dL。
●方法 対象をsaxagliptin群(5mg/日,eGFR≦50mL/分/1.73m2の場合は2.5mg/日)(8,561例),プラセボ群(8,212例)にランダム化。
事前設定による年齢別のサブグループ解析を実施し(<65歳,≧65歳,<75歳,≧75歳),全年齢層において一貫した治療効果が得られるかCox比例ハザードモデルにて検討した。
●結果 一次エンドポイント(心血管死+心筋梗塞+脳梗塞の複合)発生について,saxagliptin群のプラセボ群に比したハザード比(HR)は,高齢者(65歳以上)で0.92(95%信頼区間0.79-1.06),非高齢者(65歳未満)で1.15(0.96-1.37)であり(相互作用p=0.06),超高齢者(75歳以上)で 0.95(0.75-1.22),非超高齢者(75歳未満)で1.01(0.89-1.15)であった(相互作用p=0.67)。
複合二次エンドポイント発生リスクは,saxagliptin群でプラセボ群に比して,全対象で有意な群間差を認めなかった(65歳未満vs.65歳以上の相互作用p=0.09,75歳未満vs.75歳以上の相互作用p=0.57)。saxagliptin群で心不全による入院リスクが増加したが,年齢による相互作用は認められなかった(65歳以上vs.65歳未満の相互作用p =0.759,75歳以上vs.75歳未満の相互作用p =0.342)。
ベースラインHbA1c≧7.6%の場合,saxagliptin群のベースラインから2年後までの平均変化は,65歳以上で-0.69%,65歳未満で-0.64%,75歳以上で-0.66%,75歳未満で-0.66%であった。
全有害事象および重篤な有害事象は,いずれの年齢層とも両群で同様であったが,低血糖イベント発生率はいずれの年齢層でもsaxagliptin群でプラセボ群に比して高かった。
●結論 本研究により,高齢者および超高齢者におけるsaxagliptinの全心血管疾患に対する安全性が示唆されたが,心不全による入院のリスクは年齢に関わらず増加した。有害事象と重篤な有害事象は,血糖低下効果と同様に,高齢者と若年者で同程度であった。