編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Yokoyama H, Araki S, Kawai K, Hirao K, Oishi M, Sugimoto K, Sone H, Maegawa H, Kashiwagi A; Japan Diabetes Clinical Data Management Study Group : Pioglitazone treatment and cardiovascular event and death in subjects with type 2 diabetes without established cardiovascular disease (JDDM 36). Diabetes Res Clin Pract. 2015; 109: 485-92. [PubMed]

pioglitazoneのCVDと死亡に対する二次予防効果はPROactive Studyやメタ解析(JAMA. 2007;298:1180-8.[PubMed])で示されている。本報告は観察研究ではあるが,CVDの既往のないわが国の2型糖尿病患者において,有意ではないもののpioglitazoneがCVD+死亡のリスクを33%低下させ,特に腎症がある場合には約50%のリスク低下を示した。
pioglitazoneの心保護作用は,HDL-コレステロールの増加・トリグリセリドの低下や,アディポネクチンの上昇や抗血栓・抗炎症作用など,その多面的作用にあると推測される。一方で,これらの有用性にもかかわらず,42.7%の患者が体重増加や浮腫のためpioglitazoneの服用を中断していた。
ただ,3000人・年の観察で,劇症肝炎,骨折,膀胱がんによる中止が認められなかったことは特記される。【片山茂裕

●目的 心血管疾患(CVD)のない2型糖尿病患者において,心血管イベントと死亡に対するpioglitazoneの効果を検討した。
主要評価項目は,CVD(冠動脈心疾患,虚血性脳卒中,末梢動脈疾患)+全死亡。
●デザイン 多施設共同プロスペクティブ観察的コホート研究(日本,17施設)のサブ解析。
●試験期間 登録期間は2004年。追跡期間は6年(2010年追跡終了)。
●対象患者 2,864例:CVDのない2型糖尿病患者。
●方法 Cox比例ハザードモデルによりベースラインのpioglitazone使用の効果,統合ロジスティック回帰モデルにより各年度の時間依存性pioglitazone使用の効果を評価した。
●結果 ベースラインにpioglitazoneを使用していたのは493例であった(平均1日用量中央値15mg)。
CVD+死亡を認めたのは175例で,ベースラインのpioglitazone使用によりリスクが低下したが,有意差は認めなかった(調整ハザード比[HR]0.67,95%CI 0.43-1.05)。糖尿病腎症の有無別では,糖尿病腎症を有する場合はpioglitazoneによりCVD+死亡リスクが有意に低下したが(調整HR 0.51,95%CI 0.26-0.99),有さない場合は有意なリスク低下を認めなかった(調整HR 0.90,95%CI 0.49-1.65)。
追跡期間(11,952人年)における時間依存性pioglitazone使用は,血中グルコース,血圧,脂質,アルブミン尿,腎機能とは独立して,CVD+死亡リスク(調整HR 0.58,95%CI 0.38-0.87),CVDリスク(調整HR 0.54,95%CI 0.33-0.88)を有意に低下させた。
追跡期間中にpioglitazoneを使用した898例のうち383例(42.7%)で治療中止があったが,劇症肝炎,骨折,膀胱がんによる中止は認めなかった。
●結論 CVDのない2型糖尿病患者,特に糖尿病腎症を有する症例において, CVDと死亡に対するpioglitazoneの保護的な関連が示された。