編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Pan A, Wang Y, Talaei M, Hu FB: Relation of Smoking With Total Mortality and Cardiovascular Events Among Patients With Diabetes Mellitus: A Meta-Analysis and Systematic Review. Circulation. 2015; 132: 1795-804. [PubMed]

喫煙が種々の健康障害を惹起することは論を待たない。糖尿病の存在が,喫煙者の死亡率などに対して,どのような負荷を及ぼしているのか,このような解析では不可能であろう。喫煙が種々の健康障害をもたらす作用機序の各々に関して,さらに糖尿病状況が加味されることによって,どのような相乗作用があるのか,特に発がんなどに関する検討などが必須であろう。 【河盛隆造

●目的 糖尿病患者において,能動的喫煙と全死亡および心血管イベント発症リスクとの関係を検討した。
●デザイン システマティックレビュー,メタアナリシス。
●試験期間
●対象患者 1型および2型糖尿病患者(18歳以上で施設に入っていない)を対象としたコホート研究89論文(全死亡に関する48研究,心血管死13研究,全心血管疾患[CVD] 16研究,冠動脈性心疾患[CHD]21研究,脳卒中15研究,末梢動脈疾患[PAD]3研究,心不全4研究)。
研究論文の採用基準:オリジナル研究および査読論文(総説や学会抄録を除く),糖尿病患者においてベースラインの喫煙状況により全死亡または心血管アウトカムの推定リスクを報告している研究(現喫煙 vs. 喫煙未経験,現喫煙 vs. 禁煙,禁煙 vs. 喫煙未経験,喫煙経験 vs. 喫煙未経験)。
研究論文の除外基準:サンプルサイズ<100例または総疾患アウトカム<50例,未調整の関連を報告しているもの。
●方法 MedlineおよびEmbaseデータベースより,Mesh用語の3つのテーマ(喫煙または煙草,糖尿病または糖代謝異常,および前向き研究)を中心に,糖尿病患者における喫煙と有害アウトカムに関する研究を検索した(2014年4月に初回検索,2015年5月に再度検索)。
2名が独立して抽出論文を評価し,意見の相違は合意または別の評価者により解決。
●結果 喫煙による全死亡(109,966例/1,132,700例)の統合相対リスク(RR)は1.55(95%信頼区間1.46-1.64)と有意にリスクが増加したが,試験間の異質性が認められた(I2=77.6%,p<0.001)。全死亡リスクを喫煙状況により比較すると,現喫煙者の喫煙未経験者に対する全死亡の統合RRは1.62,禁煙者に対する統合RRは1.53,喫煙経験者の未経験者に対する統合RRは1.51といずれの比較でも同様であった。また13研究において,禁煙者の喫煙未経験者に対する統合RRは1.19(1.11-1.28)であった。
喫煙による心血管死(3,163例/37,550例)の統合RRは1.49(1.29-1.71)で,異質性を認めなかった(I2=26.5%,異質性のp=0.16)。禁煙者の喫煙未経験者に対する統合RRは1.15(1.00-1.32)であった(8研究)。
喫煙による全CVDイベント(94,929件/1,028,982例)の統合RRは1.44(1.34-1.54)で,有意な異質性を認めた(I2=73.9%,異質性のp<0.001)。その他のCVDについても,CHD(統合RR 1.51,1.41-1.62,I2=60.8%,異質性のp <0.001),脳卒中(1.54,1.41-1.69,I2=70.9%,異質性のp<0.001),PAD(2.15,1.63-2.85,I2=33.6%,異質性のp=0.22),心不全(1.43,1.19-1.72,I2=93.8%,異質性のp<0.001)といずれも有意な関連を認めた。また,喫煙未経験者にくらべ,禁煙者のほうがCVDリスク(7報告:1.09,1.05-1.13),CHDリスク(13報告:1.14,1.00-1.30)が中等度に増加したが,脳卒中リスク(9報告:1.04,0.87-1.23)は有意な差はなかった。
●結論 糖尿病患者において,能動的喫煙は全死亡およびCVDイベント発症リスクをそれぞれ有意に増加させる一方,禁煙は現喫煙にくらべてリスクを減少させた。本研究結果により,糖尿病患者に対して禁煙を推奨する強力なエビデンスが示された。