編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Diabetes Prevention Program Research Group: Long-term effects of lifestyle intervention or metformin on diabetes development and microvascular complications over 15-year follow-up: the Diabetes Prevention Program Outcomes Study. Lancet Diabetes Endocrinol. 2015; 3: 866-75. [PubMed]

DPP試験は,糖尿病発症の高リスク者を対象に,強力な生活習慣介入,もしくは,プラセボ,metformin,もしくはtroglitazone (副作用で本アームは中止された)内服の効果を検討した研究であり,3年間の介入において,強力な生活習慣介入が,糖尿病の発症予防に最も効果的であることを示した研究である。
本研究ではこのDPP試験の対象者を平均15年間追跡し,糖尿病の発症リスク,ならびに細小血管症の発症リスクを比較検討した研究である。その結果,長期の追跡においても,生活習慣改善群において,糖尿病の発症リスクは最も低かった。しかしながら,細小血管症に関しては有意差を認めなかった。
以前から,糖尿病患者における合併症予防のためには,発症早期からの血糖コントロール介入が有用であることが示されてきた。一方,本研究は,糖尿病発症の高リスク者においても,強力な生活習慣介入の効果が15年間持続することを示したことは特筆に値する。しかしながら,細小血管症に関してなぜ有意差を認めなかったのか,その理由に関して今後の検討を要する。【西村理明

●目的 DPP試験に参加した糖尿病発症の高リスク患者において,3年間で認められたライフスタイル介入およびmetforminの糖尿病発症予防効果は長期的に認められるかについて検討し,またこれらの介入は糖尿病細小血管合併症を減少させるかについても検討した。
一次エンドポイントは糖尿病発症(空腹時血糖[FPG]≧7.0mmol/L[126mg/dL]または食後2時間値≧11.1mmol/L[200mg/dL]),細小血管疾患(腎症,網膜症,神経障害)。
●デザイン DPPの延長試験(DPPは無作為,多施設[米国27施設],metforminは二重盲検[ライフスタイル介入はオープン])。intention-to-treat解析。
●試験期間 DPP試験は1996~2001年,DPPOS試験は2002年9月1日~2014年1月2日。
追跡期間はDPP開始から平均15年。
●対象患者 糖尿病発症の高リスク患者を対象としたDPP試験の3つの治療群(プラセボ群935例,metformin群926例,ライフスタイル介入群915例)のいずれかに参加した生存患者のうち,同意が得られた2766例(88%)。DPP試験開始時の平均年齢51歳,女性68%,体重94kg,BMI 34kg/m2,糖尿病0例,FPG 5.9mmol/L,HbA1c 5.9%。
●方法 DPP試験では,metformin群(metformin 850mg×2回/日),ライフスタイル介入群(7%減量を目標としたライフスタイルプログラム[低脂肪+低カロリーの健康的な食事,中強度の身体活動150分/週]),プラセボ群へのランダム化を実施。
本試験では,metformin群はオープンラベルで投与継続し,ライフスタイル介入群では半年に1回のライフスタイル強化プログラムを実施した。
●結果 糖尿病の15年累積発症率は,プラセボ群62%,metformin群56%,ライフスタイル介入群55%であった。15年間の平均糖尿病発症率/年は,プラセボ群にくらべ,ライフスタイル介入群で27%低く(ハザード比0.73,95%信頼区間0.65-0.83,p<0.0001),metformin群で18%低かった(0.82,0.72-0.93,p=0.001)。
試験終了時の細小血管疾患発症率は,プラセボ群12.4%(95%信頼区間11.1-13.8),metformin群13.0%(11.7-14.5),ライフスタイル介入群11.3%(10.1-12.7)と有意な群間差は認められなかった。しかしながら,女性(1,187例)においては,ライフスタイル介入群(8.7%)でプラセボ群(11.0%)にくらべ21%低く(相対リスク0.79,0.64-0.98,p=0.03),metformin群(11.2%)にくらべ22%低かった(0.78,0.62-0.96,p=0.02)。また,糖尿病非発症例では,糖尿病発症例にくらべ,細小血管疾患の発症率が28%低かった(0.72,0.63-0.83,p<0.0001)。
●結論 ライフスタイル介入群およびmetformin群ではプラセボ群にくらべ15年間にわたり糖尿病発症率がそれぞれ有意に低かった。細小血管疾患の発症率は,全例では群間差を認めなかったが,糖尿病非発症例では糖尿病発症例にくらべて有意に低かった。