編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Siraj ES, Rubin DJ, Riddle MC, Miller ME, Hsu FC, Ismail-Beigi F, Chen SH, Ambrosius WT, Thomas A, Bestermann W, et al.; ACCORD Investigators : Insulin Dose and Cardiovascular Mortality in the ACCORD Trial. Diabetes Care. 2015; 38: 2000-8. [PubMed]

いくつかの臨床的・基礎的検討で,インスリンがCV死を増加させるというのではないかと懸念されている。今回のACCORDのpost hoc解析では,試験開始時の種々の交絡因子で調整すると,インスリン使用量とCV死のHRは有意ではなくなった。この結果は,ORIGINやDCCT/EDIC,UKPDSの結果とも一致し,インスリンがCV死を増加させるという懸念を完全に払拭したといえる。ただ,一部の層でこうした懸念が残る可能性もあり,さらなる検討が必要である。【片山茂裕

●目的 心血管(CV)高リスクの2型糖尿病患者において,インスリンが量的にCV死リスクと関連するという仮説を検証した。
●デザイン ACCORD(無作為,多施設[米国とカナダ,77施設])のpost hoc解析。
●試験期間 登録期間は2001年1月~2005年10月。追跡期間は平均4.97年(2001年1月~2009年6月),50,464人・年。
2008年2月,強化療法により死亡率が上昇したため試験は早期に中止され,その後は全例で標準療法実施となった。
●対象患者 10,163例:ACCORD参加者で,CVイベント既往/その他のCV疾患高リスクのエビデンスを有する2型糖尿病患者のうち,薬剤治療/HbA1c値の追跡データを有する者。平均年齢62.2歳,女性38.4%,BMI 32.2kg/m2,HbA1c 8.3%。
●方法 ACCORDでは,強化療法群(目標HbA1c値<6.0%),標準療法群(目標HbA1c値7.0~7.9%)への無作為割付けの他,降圧治療および脂質低下療法に関するランダム化も実施された。
本post hoc解析では,Cox比例ハザードモデルを用いて,CV死リスクとインスリン(総インスリン,基礎インスリン,ボーラスインスリン)用量との関連を検討した。その際,ベースライン因子(年齢,CV疾患既往,心不全,下肢切断術,教育,ARB,末梢神経障害,Q-Tインデックス,A1c,HDL,血清クレアチニン,尿中アルブミン・クレアチニン比,統合ヘルスプラン,スタッフに対する糖尿病療養指導士)による調整(モデル1),モデル1に加え降圧治療の割付け,脂質低下治療の割付け,重症低血糖症,および体重変化による調整(モデル2),モデル2に加え平均A1c値の更新データによる調整(モデル3),モデル3に加え血糖治療の割付けによる調整(モデル4)を実施した。
●結果 ACCORDでのCV死は328例であった。
追跡期間におけるインスリン使用率は,強化療法群(79%)のほうが標準療法群(62%)よりも高く,平均インスリン総量/日も強化療法群で有意に多かった(0.41 units/kg vs. 0.30 units/kg,p<0.001)。
すべてのインスリン治療において,1日あたりのインスリン量が1 unit/kg増加するごとに,CV死リスクが有意に上昇した(総インスリンHR 1.83[95%信頼区間1.45-2.31],基礎インスリンHR 2.29[1.62-3.23],ボーラスインスリンHR 3.36[2.00-5.66])。しかしベースライン因子で調整後は(モデル1),CV死のHRは減弱し,インスリンのいずれのカテゴリーにおいても有意性が消失した。さらに,モデル2,モデル3でもインスリン用量とCV死との関連はほとんど変化せず,全調整後(モデル4)のCV死のHRはそれぞれ0.99(0.74-1.34),0.94(0.61-1.46),1.23(0.63-2.40)であった。
●結論 ACCORDの本post hoc解析では,インスリン用量はCV死増加と関連するという仮説を支持する結果は得られなかった。