編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Hwang YC, Hayashi T, Fujimoto WY, Kahn SE, Leonetti DL, McNeely MJ, Boyko EJ: Differential Association Between HDL Subclasses and the Development of Type 2 Diabetes in a Prospective Study of Japanese Americans. Diabetes Care. 2015; 38: 2100-5. [PubMed]

HDL-Cが心血管イベントと逆相関することはよく知られている。また,HDL-CのサブクラスであるHDL-C3(小さくて重くコレステロールが少ない)に比べてHDL-C2 (大きくて軽くコレステロールが比較的多い)が心保護に働くといわれている。アメリカ在住の日系2世・3世を対象に行われた本検討により,HDL-Cが高いと糖尿病の新規発症リスクが低下し,その効果の多くはHDL-C2によるところが大であることが示された。HDL-Cが糖代謝を改善する機序については,不明のことも多いが,膵機能を高めインスリン分泌を増加させる,脂肪酸の代謝や酸化を亢進させる,抗炎症作用を有することなどがあげられている。【片山茂裕

●目的 非糖尿病の日系アメリカ人において,HDL-Cおよびそのサブクラス(HDL2-C,HDL3-C)と2型糖尿病発症リスクとの関連を検討した。
●デザイン 前向き,コホート。
●試験期間 追跡期間は10年。
●対象患者 406例:34~75歳で非糖尿病のワシントン州キング郡在住の日系アメリカ人(日系2世,3世)で,10年間の追跡完遂者。男性208例,女性198例。平均年齢51.6歳,BMI 24.2 kg/m2,VAT面積76.2 cm2,総HDL-C 58.4 mg/dL,HDL2-C 16.2 mg/dL,HDL3-C 42.2 mg/dL。
●方法 ベースライン時のHDL2-C,HDL3-C,および総HDL-Cと2型糖尿病発症リスクとの関連について,backward selection法による多変量ロジスティック回帰分析を用いて検討し,オッズ比(OR)を求めた。その際,年齢,性別,BMI,腹囲,糖尿病家族歴,収縮期血圧,現喫煙,アルコール摂取,定期的な身体活動,脂質低下薬,トリグリセリド値,HOMA-IR,2時間血糖値,および総HDL-CまたはHDL2-CまたはHDL3-Cにより調整した。
2型糖尿病の診断は,空腹時血糖値≧126 mg/dL,経口血糖降下薬またはインスリン療法による治療,または負荷後2時間血糖値≧200 mg/dLのいずれかの場合と定義した。
●結果 追跡期間における2型糖尿病発症は91例(22.4%)であった。
単変量解析では,2型糖尿病発症リスクと総HDL-C(1SD増加分に対するオッズ比0.68[95%信頼区間0.52-0.88],p=0.004)およびHDL2-C(0.57[0.42-0.77],p<0.001)は逆相関したが,HDL3-Cは関連しなかった。多変量解析においても,総HDL-C(0.72[0.52-0.995],p=0.047),HDL2-C(0.64[0.44-0.93],p=0.018)は2型糖尿病発症リスクと逆相関したが,さらに内臓脂肪組織(VAT)面積で調整すると有意性が消失した。HDL3-Cはいずれの調整後にも,糖尿病リスクとは関連しなかった。
●結論 HDL2-Cが高値の人では2型糖尿病発症リスクが低いが,この関連はVAT面積で調整すると消失した。HDL3-C高値は糖尿病リスクと関連しなかった。