編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Thorn LM, Gordin D, Harjutsalo V, Hägg S, Masar R, Saraheimo M, Tolonen N, Wadén J, Groop PH, Forsblom CM; FinnDiane Study Group : The Presence and Consequence of Nonalbuminuric Chronic Kidney Disease in Patients With Type 1 Diabetes. Diabetes Care. 2015; 38: 2128-33. [PubMed]

CKDを伴う2型糖尿病患者では,35~75%がアルブミン尿を示さないと報告されている。アルブミン尿を示さないCKDの病態はあまり明らかにされていないが,アルブミン尿もCKDもない例に比べて糸球体病変が進行しているが,アルブミン尿もCKDもある例に比べると糸球体病変は軽いとされる。そして,女性や高齢者に多く,高血圧・神経障害や大血管障害を伴うことが多いといわれている。1型糖尿病患者でのアルブミン尿を示さないCKDに関する検討は多くはなく,本研究は3,809例を対象とした13年間の貴重な検討である。全体の2%と稀ではあるが,女性や高齢者に多く,網膜症や心血管疾患が多く,降圧治療を受けている比率が高いことが明らかになった。このことから,加齢・高血圧・動脈硬化がその病態の根底にあり,ESRDよりは,心血管アウトカムや死亡に深く関わっているといえる。このような患者では,心血管疾患の予防に留意していく必要があるだろう。【片山茂裕

●目的 1型糖尿病患者において,正常アルブミン尿慢性腎臓病(CKD)の有病率とその後のアウトカムを検討した。
●デザイン 観察研究。
●試験期間 1997年登録開始。2013年追跡終了。追跡期間は13年(中央値)。
●対象患者 3809例:末期腎疾患(ESRD)を認めない1型糖尿病患者。平均37.6歳,罹病期間21.2年。
●方法 正常アルブミン尿CKDの有病率と関連因子を評価。
中央値12.5年のESRD発症は378例,中央値12.9年の心血管イベント発症は415例,中央値13.1年の死亡は406例。
●結果 ベースラインの正常アルブミン尿CKDは78例(2.0%)であった。
正常アルブミン尿CKDの独立した関連因子は,年齢(1歳あたりのオッズ比[OR]1.1),女性(OR 3.7),網膜レーザー治療歴(OR 2.3),心血管イベント既往(OR 2.2),降圧薬使用数(1剤あたりのOR 1.4)で,血圧や特定の降圧薬(ACE阻害薬,アンジオテンシン受容体拮抗薬など)は関連因子ではなかった。
既知のリスク因子を調整後,正常アルブミン尿CKDは,アルブミン尿発症リスク(ハザード比[HR]2.0,95%CI 0.9-4.4)またはESRD発症リスク(HR 6.4,95%CI 0.8-53.0)を上昇させなかったが,心血管イベント発症リスク(HR 2.0,95%CI 1.4-3.5)と全死亡リスク(HR 2.4,95%CI 1.4-3.9)は上昇させた。心血管イベントと腎症イベントのリスクは,アルブミン尿患者で最も高かった。
●結論 1型糖尿病患者における正常アルブミン尿CKDの有病率は高くないが,心血管イベントと全死亡のリスクを上昇させることが示された。