編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Sun F, Wu S, Guo S, Yu K, Yang Z, Li L, Zhang Y, Quan X, Ji L, Zhan S: Impact of GLP-1 receptor agonists on blood pressure, heart rate and hypertension among patients with type 2 diabetes: A systematic review and network meta-analysis. Diabetes Res Clin Pract. 2015; 110: 26-37. [PubMed]

今回のネットワークメタアナリシスから,GLP-1受容体作動薬の降圧効果が確認された。収縮期血圧にして1.84~4.60mmHgの低下とわずかではあるが,ADVANCEでは5.6mmHgの収縮期血圧の低下で心血管死が18%減少し,HOPEでは2.5mmHgの収縮期血圧の低下で心筋梗塞・脳卒中・心血管死が25%減少しているので,臨床的意義のある降圧度といえる。降圧機序については不明な点も多いが,内皮細胞保護作用やその結果としてのNOの亢進,血管拡張作用,Na利尿作用などがあげられている。今回のメタ解析で,exenatide 20μg/日(分2)がスルホニル尿素に比し,高血圧の新規発症を有意に抑制することも明らかにされたが,高血圧の結果としての臓器障害や心血管死に対する抑制効果までは明らかにならなかった。試験期間が短いことがその理由であろうが,今後さらなる検討が望まれる。【片山茂裕

●目的 2型糖尿病患者において,血圧,心拍数,高血圧に対するGLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)の影響を検討した。
●デザイン メタアナリシス。
●試験期間 試験期間は≧12週(範囲12~234週)。
●対象患者 26,654例:2型糖尿病患者。平均55.88歳。平均罹病期間7.4年。平均HbA1c 8.2%。
●方法 MEDLINE,EMBASE,Cochraneライブラリを用いて,2型糖尿病患者においてGLP-1RAとプラセボまたは従来の糖尿病治療薬を比較した投与期間≧12週の無作為化比較試験(RCT)を検索。ランダム効果モデルを用いて,血圧と心拍数の変化についての加重平均差,高血圧についてのオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出し,ネットワークメタアナリシスを行って直接比較を補完。
●結果 解析対象としたRCTは60件で,14治療を評価(GLP-1RAはalbiglutide,exenatide,liraglutide,dulaglutide,糖尿病治療薬はインスリン,スルホニル尿素薬,sitagliptin,チアゾリジン薬)。
プラセボ,インスリン,スルホニル尿素薬に比し,GLP-1RAは収縮期血圧を1.84mmHg(95%CI-3.48 to -0.20)~4.60mmHg(95%CI-7.18 to -2.03)低下させた。プラセボより拡張期血圧の低下が有意に大きかったのは,GLP-1RAのうちexenatide 20μg/日(分2)のみであった(-1.08mmHg,95%CI-1.78 to -0.33)。
心拍数については,プラセボに比し,exenatide 2mg週1回は3.35拍/分上昇(95%CI 1.23~5.50),liraglutide 1.2mg/日(分1)は2.06拍/分上昇(95%CI 0.43~3.74),liraglutide 1.8mg/日(分1)は2.35拍/分上昇させ(95%CI 0.94~3.76),他の糖尿病治療薬と比較しても,GLP-1RAは心拍数を2.22~3.62拍/分上昇させた。
exenatide 20μg/日(分2)はスルホニル尿素に比し,高血圧発症を有意に抑制したが(OR 0.40,95%CI 0.16~0.82),その他のGLP-1RAと高血圧発症についての有意な関連は認められなかった。
●結論 2型糖尿病患者において,GLP-1RAは血圧をわずかに低下させ,心拍数をわずかに上昇させたが,高血圧との有意な関連は認められなかった。