編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Pfeffer MA, Claggett B, Diaz R, Dickstein K, Gerstein HC, Køber LV, Lawson FC, Ping L, Wei X, Lewis EF, et al.; ELIXA Investigators : Lixisenatide in Patients with Type 2 Diabetes and Acute Coronary Syndrome. N Engl J Med. 2015; 373: 2247-57. [PubMed]

FDAのガイダンスにより,糖尿病治療薬については治験段階から新薬の心血管イベントに対する影響が検討されている。
最近報告されたインクレチン関連薬のDPP-4阻害薬については,心血管死,心筋梗塞および脳卒中から成る複合エンドポイントを主要評価項目としたEXAINESAVOR-TIMI 53,およびTECOS(不安定狭心症による入院も複合エンドポイントの構成要素に加えられている)では,これらの心血管イベントの増加は認められなかった。SAVOR-TIMI 53では心不全がsaxagliptine群で有意に増加していた。
本研究は,GLP-1受容体作動薬の心血管イベントに及ぼす影響を観察した最初の報告であるが,一次エンドポイントにも,また関心のあった心不全にも有意な影響はなかった。
最近,SGLT2阻害薬のempagliflozinの心血管イベントに対する影響をみたEMPA-REG OUTCOME研究では,心不全の減少効果が心血管系へ好ましい作用を及ぼしたことが推測されており,lixisenatideが心不全を増加させなかったことは一つの安心材料と言えよう。【景山 茂

●目的 最近の急性冠動脈イベント既往を有する2型糖尿病患者において,GLP-1受容体作動薬lixisenatideが心血管アウトカムを抑制するか検討した。
一次エンドポイントは心血管死,非致死性心筋梗塞,非致死性脳卒中,または不安定狭心症による入院の複合。
●デザイン 無作為,二重盲検,多施設(49ヵ国),intention-to-treat解析,非劣性(ハザード比の閾値1.3),優越性(閾値1.0)。
●試験期間 登録期間は2010年7月9日~2013年8月2日,追跡期間は中央値25ヵ月。
●対象患者 6,068例:急性冠動脈イベント既往(180日以内)を有する2型糖尿病者。平均年齢はlixisenatide群59.9歳,プラセボ群60.6歳(p=0.005),女性はそれぞれ30.4%,30.9%,HbA1cは7.7%,7.6%(p=0.02),網膜症は10.5%,10.9%,神経障害は16.9%,16.4%,脳卒中既往は4.7%,6.2%(p=0.01)。
除外基準:30歳未満,15日以内のPCI実施歴,冠動脈バイパスグラフト術,90日以内の冠血行再建術の施行予定,eGFR<30mL/分/1.73m2,HbA1c<5.5%または>11.0%,書面による同意書提出不能。
●方法 1週間のrun-in期間後,lixisenatide群(3,034例),プラセボ群(3,034例)にランダム化し,標準治療に上乗せした。。
lixisenatideは初回用量10μg/日を2週間静注した後,医師の裁量により,適宜,最大20μg/日まで漸増した。
血糖コントロールは,地域の臨床ガイドラインに順じて,併用中の血糖降下薬の調整,または新たな血糖降下薬の追加(インクレチン関連薬は除く)などにより,両群同様となるようにした。
●結果 一次エンドポイントの発生は,lixisenatide群406例(13.4%),プラセボ群399例(13.2%)で,lixisenatide群のプラセボ群に対する非劣性が認められたが(HR 1.02,95%信頼区間0.89-1.17,非劣性のp<0.001),優越性は認められなかった(p=0.81)。
エンドポイントの各項目について,心血管死(HR 0.98,0.78-1.22),心筋梗塞(HR 1.03,0.87-1.22),脳卒中(HR 1.12,0.79-1.58),不安定狭心症(HR 1.11,0.47-2.62)のいずれも有意な群間差を認めなかった。
その他,心不全による入院(HR 0.96,0.75-1.23),全死亡(HR 0.94,0.78-1.13)も有意な群間差を認めなかった。
重篤な有害事象はlixisenatide群20.6%,プラセボ群22.1%で,重篤な低血糖症,膵炎,膵臓腫瘍,アレルギー反応の発症などについても,両群同様であった。
●結論 2型糖尿病かつ最近発症の急性冠症候群患者において,通常治療にlixisenatideを追加しても主要心血管イベントまたはその他の重篤な有害イベントの発生に有意な変化はもたらされなかった。