編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Frandsen CS, Dejgaard TF, Holst JJ, Andersen HU, Thorsteinsson B, Madsbad S: Twelve-Week Treatment With Liraglutide as Add-on to Insulin in Normal-Weight Patients With Poorly Controlled Type 1 Diabetes: A Randomized, Placebo-Controlled, Double-Blind Parallel Study. Diabetes Care. 2015; 38: 2250-7. [PubMed]

GLP-1受容体作動薬にグルカゴン分泌の抑制効果があるのであれば,1型糖尿病においても血糖改善効果を発揮すると考えられるが,本試験はそうした期待される効果が認められるかを検討した。
症例数が少ないことも考慮に入れるべきであるが,GLP-1受容体作動薬の作用機序を考えるうえで重要な試験である。【綿田裕孝

●目的 正常体重のコントロール不良1型糖尿病患者において,インスリン治療にliraglutide 1.2mg 1日1回を追加した場合の有効性と安全性をプラセボと比較した。
一次エンドポイントはベースラインから12週後までのHbA1cの変化。
二次エンドポイントはインスリン用量,体重,血糖偏位のばらつき,心拍数,および血圧の変化。
●デザイン 無作為,二重盲検,プラセボ対象,多施設(デンマーク)。
●試験期間 試験期間は12週。
●対象患者 36例:正常体重でコントロール不良の1型糖尿病患者。男性はliraglutide群61%,プラセボ群72%,平均HbA1cはそれぞれ8.8%,8.7%,BMIは24.17kg/m2,22.75kg/m2,体重は75.83kg,74.89kg,糖尿病罹病期間は18.33年,19.56年。
採用基準:18~70歳,BMI 18~28 kg/m2,血糖コントロール不良(HbA1c≧8%),残存β細胞機能なし(stimulated 血漿中Cペプチド<60pmol/L),白色人種,糖尿病診断時の年齢5~40歳,糖代謝に影響する他の薬剤使用なし。
除外基準:著しい晩期糖尿病合併症(微量アルブミン尿または背景網膜症は除く),臨床的に重大な心臓疾患,貧血,妊娠または授乳中,てんかん,抗てんかん薬使用,β遮断薬使用,脳卒中既往,1ヵ月前以内のbenzodiazepineの使用,6ヵ月前以内の神経弛緩薬の使用,アルコール/薬物乱用。
●方法 liraglutide群(18例),プラセボ群(18例)に1:1にランダム化。
liraglutide/プラセボは0.6mg 1日1回(就寝時)を1週間静注し,その後は忍容性により,最大用量1.2mgを1日1回静注した。試験前に投与していたインスリンは,試験期間中も継続した。
0週および治療12週後,それぞれ4日間にわたり連続血糖モニターを装着し,血糖値を測定した。
●結果 ベースラインから12週後のHbA1cの変化は,liraglutide群-0.6±0.2%(p=0.002),プラセボ群-0.5±0.2%(p=0.004)で,有意な群間差を認めなかった(p=0.62)。血糖偏位のばらつき(正常血糖,低血糖,高血糖)は,両群ともに変化せず,群間の有意差も認めなかった。
ボーラスインスリン用量はliraglutide群で減少したが,プラセボ群では変化しなかった(ベースラインからの変化4.0±1.3 vs. 0.0±1.0 IU,p=0.02)。体重はliraglutide群で大きく減少した(-3.13±0.58kg vs. +1.12±0.42kg,群間差4.3kg,<0.0001)。心拍数はliraglutide群で有意に増加したが(p=0.04),プラセボ群では有意な変化はなく(p=0.51),群間有意差もなかった(p=0.26)。平均収縮期血圧はliraglutide群でプラセボ群よりも低下した(群間差3.2mmHg,95%信頼区間-8.3 - 1.9,p=0.04)。
有害事象の発生頻度はliraglutide群90%,プラセボ群65%で,胃腸の有害事象がもっとも多かった(吐き気[13例,9例]など)。低血糖症は両群で差はみられなかった。
●結論 正常体重かつインスリン単独投与下でコントロール不良の1型糖尿病患者において,liraglutideは体重およびインスリン用量を有意に減少させたが,HbA1c値への付加的効果は示されなかった。