編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Thabit H, Tauschmann M, Allen JM, Leelarathna L, Hartnell S, Wilinska ME, Acerini CL, Dellweg S, Benesch C, Heinemann L, et al.; APCam Consortium AP@home Consortium : Home Use of an Artificial Beta Cell in Type 1 Diabetes. N Engl J Med. 2015; 373: 2129-40. [PubMed]

閉鎖ループシステムを用いたセンサーオーギュメンテドインスリンポンプは理論上,1型糖尿病患者の血糖コントロール改善に寄与すると考えられる。
本試験では,こうした人工膵島を用いて血糖コントロールにおける効果を評価し,その有用性が明らかになった。1型糖尿病の治療向上においてきわめて重要な知見である。【綿田裕孝

●目的 1型糖尿病患者において,自宅での人工β細胞(閉鎖ループインスリン注入システム)使用の実現可能性,安全性,有効性を検討した。
主要評価項目は,目標血糖範囲(成人患者70~180mg/dL,小児患者70~145mg/dL)内時間の割合。
●デザイン 無作為,クロスオーバー,多施設(成人の研究:英国,ドイツ,オーストリア,小児の研究:英国3施設)。
●試験期間 治療期間は12週。
●対象患者 58例:インスリンポンプ療法を6ヵ月以上行っている1型糖尿病患者。成人患者(≧18歳)33例,小児患者(6~18歳)25例。
登録基準:成人患者はHbA1c 7.5~10%,小児患者はHbA1c<10%。
●方法 成人患者,小児患者をそれぞれ,自動閉鎖ループインスリン注入群,センサー増強インスリンポンプ群にランダム化して自由生活下で12週実施後,治療をクロスオーバー。
閉鎖ループインスリン注入は,成人患者では日中と夜間,小児患者では夜間に実施した。
●結果 成人患者では,閉鎖ループインスリン注入のほうが目標血糖範囲内時間の割合が11.0%ポイント高く(95%CI 8.1 to 13.8, p<0.0001),平均血糖値が11mg/dL低く(-17 to -6, p<0.001),血糖値<63mg/dLの曲線下面積(AUC)が39%少なく(24 to 51, p<0.001),平均HbA1cが0.3%低下した(-0.5 to -0.1, p=0.002)。
小児患者では,閉鎖ループインスリン注入のほうが目標血糖範囲の時間の割合が24.7%ポイント高く(20.6 to 28.7, p<0.0001),平均血糖値が29mg/dL低く(-39 to -20, p<0.001),血糖値<63mg/dLのAUCが42%少なかった(4 to 65, p=0.03)。
閉鎖ループインスリン注入療法中に重度低血糖エピソードが3件発生したが,いずれもシステムを使用していない時間帯の発生であった。
●結論 1型糖尿病患者において,12週間の閉鎖ループインスリン注入療法により血糖コントロールが改善し,低血糖が減少し,成人ではHbA1cも改善した。