編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Rickels MR, Ruedy KJ, Foster NC, Piché CA, Dulude H, Sherr JL, Tamborlane WV, Bethin KE, DiMeglio LA, Wadwa RP, et al.; T1D Exchange Intranasal Glucagon Investigators : Intranasal Glucagon for Treatment of Insulin-Induced Hypoglycemia in Adults With Type 1 Diabetes: A Randomized Crossover Noninferiority Study. Diabetes Care. 2016; 39: 264-70. [PubMed]

本検討は経鼻グルカゴン投与の有効性を示した興味深い研究である。
重症低血糖の治療等にグルカゴンの筋肉注射が行えることは知識として普及してはいるが,実際の実施率は極めて低い。その理由のひとつとして,グルカゴン筋肉注射の手技が煩雑であることがあげられる。
本研究で用いられた製剤は簡単に投与することができるため,その普及により低血糖のさまざまな有害事象の予防が可能になることが期待される。【綿田裕孝

●目的 成人1型糖尿病患者において,インスリン誘発性低血糖に対する無針経鼻グルカゴン製剤と筋注グルカゴンの有効性と安全性を比較した。
●デザイン 無作為,多施設(8施設),クロスオーバー,非劣性。
●試験期間 試験期間は2013年12月~2014年5月。
●対象患者 75例:成人1型糖尿病患者。平均33歳。罹病期間中央値18年。
登録基準:18~64歳,罹病期間≧2年,体重≧50kg,BMI 20~35kg/m2
除外基準:過去1ヵ月間の重度低血糖エピソード,褐色細胞腫,インスリノーマ,発作性障害の既往,心血管疾患,肝疾患,腎疾患,β遮断薬使用,1日の飲酒量≧3単位。
●方法 対象患者を経鼻グルカゴン3mg群または筋注グルカゴン1mg群にランダム化し,治療成功の割合を比較した。
治療成功の定義は,グルカゴン投与後30分以内の血糖値≧70mg/dLまたは底値からの上昇≧20mg/dLとした。
●結果 グルカゴン投与時の平均血糖値は,経鼻グルカゴン群で48±8mg/dL,筋注グルカゴン群で49±8mg/dLであった。
治療成功の定義に合致したのは,経鼻グルカゴン群で98.7%,筋注グルカゴン群で100%であった(未調整治療差1.3%,片側97.5%CIの上限4.0%)。
治療成功までの平均期間は,経鼻グルカゴン群で16分,筋注グルカゴン群で13分であった(p<0.001)。
経鼻グルカゴン群の25%,筋注グルカゴン群の9%で一過性の頭顔部不快感を認め,経鼻の36%,筋注の38%で消化管有害事象を認めた。
●結論 成人1型糖尿病患者のインスリン誘発性低血糖の治療において,経鼻グルカゴンの有効性は高いことが示された。