編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Brown MJ, Williams B, Morant SV, Webb DJ, Caulfield MJ, Cruickshank JK, Ford I, McInnes G, Sever P, Salsbury J, et al.; British Hypertension Society's Prevention Treatment of Hypertension with Algorithm-based Therapy (PATHWAY) Studies Group : Effect of amiloride, or amiloride plus hydrochlorothiazide, versus hydrochlorothiazide on glucose tolerance and blood pressure (PATHWAY-3): a parallel-group, double-blind randomised phase 4 trial. Lancet Diabetes Endocrinol. 2016; 4: 136-47. [PubMed]

サイアザイド系利尿薬に伴う糖代謝異常は低カリウム血症を介することは以前より想定されている。低カリウム血症を来さない利尿薬であれば糖代謝異常をきたさないという仮説に本研究はほぼ明確な答えを示し,サイアザイド系利尿薬とamilorideの併用の有用性を示した。
古くはMRC(Medical Research Council)による高齢者高血圧研究,その後はINSIGHT研究によりhydrochlorothiazide+amiloride配合剤の検討はなされたが,これらの研究ではhydrochlorothiazide 25 mg+amiloride 2.5 mgの配合錠が用いられ,hydrochlorothiazideによる低カリウム血症を十分には予防することができなかった。本研究では,hydrochlorothiazide 12.5 mg+amiloride 5 mgの組み合わせにより,糖代謝異常を来すことなくより大きな降圧を得ることが示された。
なお,わが国ではamilorideは市販されていない。【景山 茂

●目的 サイアザイド系利尿薬にカリウム保持性利尿薬amilorideを追加または置き換えた場合,耐糖能異常が予防され,血圧コントロールが改善するか検討した。
一次エンドポイントはベースラインから12週後および24週後の75g経口糖負荷試験(OGTT)2時間値の変化。二次エンドポイントは,ベースラインから12週後および24週後の家庭収縮期血圧(SBP)の変化。
●デザイン 無作為,二重盲検,多施設(イギリス,13施設),第IV相,modified intention-to-treat解析。
●試験期間 ランダム化期間は2009年11月18日~2014年12月15日,試験期間は24週。
●対象患者 399例。メタボリックシンドロームを合併した高血圧患者。
平均年齢はamiloride群62.1歳,hydrochlothiazide群62.8歳,併用群61.5歳,女性は39.4%,35.1%,47.4%,平均体重は89.3 kg,88.2 kg,88.8 kg,平均BMIは31.4 kg/m2,30.6 kg/m2,31.0 kg/m2,喫煙者割合は7.6%,11.2%,9.0%,診察室血圧153.8/91.3 mmHg,154.4/90.0 mmHg,156.2/91.2 mmHg,家庭血圧149.3/86.9 mmHg,148.8/85.1 mmHg,150.6/86.6 mmHg。
採用基準:18~80歳,診察室SBP≧140 mmHg,家庭SBP≧130 mmHg,利尿薬治療の適応(未治療の場合は,55歳超かつ/または黒人かつ/またはレニン<12 mU/L,既治療の場合はACE阻害薬,ARB,β遮断薬,CCB,直接的レニン阻害薬を1種類以上),高血圧以外にメタボリックシンドロームの構成要素を1つ以上有する者。ACE阻害薬,ARB,β遮断薬,Ca拮抗薬,および直接的レニン阻害薬による背景治療は,登録時に置き換え可能であれば許可。利尿薬は1ヵ月のrun-in期間に中止して割付けされた利尿薬に置き換え可能であれば許可。
除外基準:糖尿病,推算糸球体濾過量(eGFR)<45 mL/分/1.73m2,血漿カリウム値が正常範囲外。
●方法 1ヵ月のrun-in後,対象患者をamiloride群(132例:amiloride 10mg),hydrochlorothiazide群(134例:hydrochlorothiazide 25mg),併用群(133例:amiloride 5mg+hydrochlorothiazide 12.5mg)に1:1:1にランダム化。12週間投与後,各群の用量を2倍にしてさらに12週間投与した。
主要評価項目は12週および24週後のOGTT 2時間値のベースラインからの変化,糖尿病の発症はFPG126 mg/dL以上,またはOGTT2h値200 mg/dL,以上またはHbA1c 6.5%以上とした。
●結果 OGTT 2時間値の変化(12週後と24週後の平均)は,hydrochlorothiazide群に比べamiloride群(平均群間差-0.55 mmol/L[-9.9 mg/dL],-0.96 to -0.14,p=0.0093)および併用群(-0.42 mmol/L[7.5 mg/dL],-0.84 to -0.00,p=0.048)で有意に低下した。
24週後の家庭SBPの平均変化度はamiloride群とhydrochlorothiazide群で差を認めなかったが,併用群ではhydrochlorothiazide群にくらべ有意に低下した(群間差-3.5 mmHg,-6.2 to -0.8,p=0.011)。
高カリウム血症はamiloride群7例,併用群3例にみられ,記録されたカリウム値の最高値はamiloride群の5.8 mmol/Lであった。重篤な有害事象はamiloride群7例,併用群4例,hydrochlorothiazide群2例にみられたが,有意な群間差はみられなかった。
●結論 amilorideとhydrochlorothiazideの併用は,各単剤療法にくらべ,耐糖能異常を予防し,血圧コントロールを改善した。