編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Dejgaard TF, Frandsen CS, Hansen TS, Almdal T, Urhammer S, Pedersen-Bjergaard U, Jensen T, Jensen AK, Holst JJ, Tarnow L, et al.: Efficacy and safety of liraglutide for overweight adult patients with type 1 diabetes and insufficient glycaemic control (Lira-1): a randomised, double-blind, placebo-controlled trial. Lancet Diabetes Endocrinol. 2016; 4: 221-32. [PubMed]

今回の研究からは,肥満の1型糖尿病に対するGLP-1受容体作動薬の追加が有用であるとの結果が得られなかった。「肥満を改善するため」に食後の胃内容排泄遅延を期待して,GLP-1受容体作動薬を追加しようとの考えを否定するものと捉えられる。しかし,今回検討された以外の効果,例えば心血管イベントなどへの効果が,今後検討されるであろう。【河盛隆造

●目的 血糖コントロール不良で過体重の1型糖尿病患者において,インスリンへのGLP-1受容体作動薬liraglutide追加の有効性と安全性を検討した。
主要評価項目は,24週後のHbA1cの変化。副次評価項目は,インスリン用量,低血糖イベント数,血糖変動性,体重,自由行動下血圧,異内容排出,患者報告アウトカム,低血糖・ほぼ正常血糖・高血糖の時間,血糖逸脱,血漿空腹時グルコース,心拍数,コレステロール,有害事象,グルコース・グルカゴン・GLP-1の食後血漿濃度。
●デザイン 無作為,二重盲検,プラセボ対照。
●試験期間 登録期間は2012年7月10日~2014年5月30日。試験期間は24週。
●対象患者 100例:HbA1c>8%かつBMI>25kg/m2の1型糖尿病患者。
除外基準:インスリンポンプ療法,低血糖の認識なし,胃不全麻痺,腎機能障害,肝疾患,膵炎既往,妊娠,授乳,避妊不十分,がん,アルコールまたは薬物乱用歴,試験参加が不適切な疾患。
●方法 liraglutide群(50例),プラセボ群(50例)にランダム化し,インスリンに追加投与して24週間追跡した。
liraglutideは0.6mg/日から開始し,1週後に1.2mg/日,2週後に1.8mg/日に増量した。
●結果 割り付け治療を中止したのは,liraglutide群4例,プラセボ群6例であった。
治療終了時のHbA1cの変化は,liraglutide群-0.5%(95%CI-0.8 to -0.4),プラセボ群-0.3%(95%CI-0.6 to -0.2)で有意差はなかった(群間差-0.2%,95%CI-0.5 to 0.1,p=0.1833)。
低血糖イベント数はliraglutide群で減少したが(発生率比0.82,95%CI 0.74 to 0.90),血糖変動性の変化は認めなかった。
liraglutide群はプラセボ群に比し,ボーラスインスリン用量の減少度(群間差-5.8IU,95%CI-10.7to -0.8,p=0.0227)と体重減少度(群間差-6.8kg,95%CI-12.2 to -1.4,p=0.0145)が有意に大きかった。心拍数はliraglutide群で上昇した(群間差7.5bpm,95%CI 2.8~12.2,p=0.0019)。グルカゴンとGLP-1の食後血漿濃度には群間差を認めなかった。
3週後の胃内容排出はliraglutide群で有意に遅延したが(群間差19.9分,95%CI 0.8~39.0,p=0.0412),24週後には群間差を認めなかった。
患者報告アウトカムで群間差を認めたのは低血糖の認識頻度のみで,プラセボ群で高かった(群間差-0.6,95%CI-1.1 to -0.07,p=0.0257)。
liraglutide群ではプラセボ群に比し,悪心(58 vs 10%),消化不良(22 vs 2%),下痢(20 vs 2%),食欲低下(14 vs 0%),嘔吐(14 vs 2%)が増加した。
●結論 血糖コントロール不良で過体重の1型糖尿病患者において,liraglutide追加によるHbA1c低下は認めなかったが,低血糖イベント,インスリン用量,体重が減少し,心拍数が上昇した。