編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Wagner H, Alvarsson M, Mannheimer B, Degerblad M, Östenson CG: No Effect of High-Dose Vitamin D Treatment on β-Cell Function, Insulin Sensitivity, or Glucose Homeostasis in Subjects With Abnormal Glucose Tolerance: A Randomized Clinical Trial. Diabetes Care. 2016; 39: 345-52. [PubMed]

ビタミンD3製剤の投与がβ細胞に影響を与えるか否かについて,無作為化によって検討された成績であり,またβ細胞機能をゴールデンスタンダードである高血糖クランプ法で評価しており,信頼性の高い研究である。【綿田裕孝

●目的 前糖尿病または食事療法中の2型糖尿病患者において,高用量ビタミンD3による治療がβ細胞機能,インスリン感受性,耐糖能に与える影響を検討した。
一次エンドポイントは,ベースラインから試験終了時までの高血糖クランプ法による0~12分の血清インスリン分泌量の変化。
●デザイン 無作為,二重盲検,多施設(2施設,スウェーデンのストックホルム),intention-to-treat解析。
●試験期間 登録期間は2003~2006年,試験期間は2012年2月~2013年5月(治療は8週間)。
●対象患者 43例:前糖尿病または食事療法中の2型糖尿病患者。平均年齢67.3歳,女性47%,BMI 28.5 kg/m2,HbA1c 6.2%。空腹時血糖異常(IFG)10例,耐糖能異常(IGT)10例,IFG+IGT 11例,糖尿病12例。
採用基準:OGTTでIFG,IGT,IFG+IGT,または薬剤による治療歴なしの糖尿病。45~75歳,BMI≦32 kg/m2,HbA1c≦7.9%,空腹時血糖<9 mmol/L(126 mg/dL),血清25(OH)D<75 nmol/L。
除外基準:糖尿病治療薬(種類問わず),糖代謝の妨げとなる併用薬の変更予測,ビタミンD製剤(種類問わず)による治療,日光浴室で定期的に日光浴,高カルシウム血症(イオン化sカルシウム>1.35 mmol/L),高リン血症(s-phosphate>1.5mmol/L),サルコイドーシス/肉芽腫性疾患,フェニトイン/バルビツレート/リファンピシン/イソニアジド/強心配糖体/orlistat/colestyraminによる治療(ビタミンD代謝の妨げとなることが知られている薬剤),肝機能障害,腎機能障害,心疾患,過去6ヵ月以内の脳梗塞,コントロール不良の高血圧,がん,妊娠の可能性のある女性/授乳例,アルコール/麻薬の乱用の疑い/既知,精神的無能力。
●方法 対象者をビタミンD群(21例:ビタミンD3 30,000 IU[1.5mL/45滴],週1回経口投与),プラセボ群(22例:プラセボオイル[1.5 mL/45滴],週1回経口投与)に1:1にランダム化し,8週間実施。
高血糖クランプ法により0~12分および12~120分のインスリン反応,インスリン感受性(glucose infusion rate:GIR),インスリン分泌能(disposition index:DI)値を測定した。
●結果 季節で調整後の25-OH-ビタミンD値はビタミンD群で倍増し(+42 nmol/L[四分位範囲32~50],p<0.001),プラセボ群では変化がみられなかった(0.0 nmol/L[-7~11],p=0.53)。
一次エンドポイントであるインスリン分泌量(0~12分)は,ビタミンD群で増加傾向を示し(+44 mU/L-1/分[-3 to 63]),プラセボ群で有意な増加となったが(+45 mU/L-1/分[-5 to 136]),群間で有意差は認められなかった(p=0.45)。二次エンドポイントであるインスリン分泌量(12~120分),GIR値,DI値(0~12分,12~120分),HbA1c値においても有意な群間差を認めなかった。高カルシウム血症,その他の有害作用も,両群同様であった。
●結論 本研究結果は,前糖尿病または食事療法中の2型糖尿病患者における8週間の高用量ビタミンD治療は,β細胞機能,インスリン感受性,血糖コントロールに大きな効果を示すという仮説を支持するものではなかった。