編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Øyen N, Diaz LJ, Leirgul E, Boyd HA, Priest J, Mathiesen ER, Quertermous T, Wohlfahrt J, Melbye M: Prepregnancy Diabetes and Offspring Risk of Congenital Heart Disease: A Nationwide Cohort Study. Circulation. 2016; 133: 2243-53. [PubMed]

なぜ母体の高血糖が胎児の心奇形を引き起こすのであろうか。ブドウ糖そのものが mutagenとは考えにくい。しかし高血糖がインスリン感受性を調整するシグナルを介して,心臓形成に催奇性を発揮する可能性はある。さらにブドウ糖がヒストン・アセチル化やmicro RNA発現などのエピジェネティックな変化を介して,胎児の成長の遺伝子発現に影響を与えるのかもしれない。ともあれ,今まで考えられている以上に,妊娠中の血糖値上昇を軽視しないことが重要である。【河盛隆造

●目的 母体の糖尿病は出生児の先天性心疾患(CHD)リスクの増加と関連するかを検証した。
●デザイン コホート研究。
●試験期間
●対象患者 2,025,727例:デンマークで1978~2011年に生まれた単胎生児。
除外基準:染色体異常,症候性CHD,母体CHD。
●方法 デンマークのCivil Registration Systemのデータを使用した。
母体の妊娠前糖尿病は,デンマークのNational Patient Registerおよびデンマークの薬局に登録された個々の患者情報(individual-level information)を用いて特定した。
●結果 CHDを伴う単胎生児は16,325例,母体が妊娠前から糖尿病を有する単胎生児は7,296例であった。
妊娠前から糖尿病を有する母体の出生児CHDは232例(318/10,000人)で,母体が糖尿病を伴わない場合にくらべ,単胎生児のCHDリスクは上昇し(相対リスク4.00,95%信頼区間3.51-4.53),このリスクは出生年,母体の出産時年齢,出産順位で調整後も変わらなかった(4.01,3.52-4.54)。
また,この単胎生児CHDリスクは,母体の1型糖尿病と2型糖尿病で有意な差を認めなかった。糖尿病合併症の既往のない糖尿病妊婦(3.49,2.91-4.13)にくらべ,妊娠前における急性糖尿病合併症の既往を有する糖尿病妊婦(7.62,95%信頼区間5.23-10.6,p=0.0004)では単胎生時CHDリスクが上昇した。妊娠前からの糖尿病は,CHDの全表現型リスク上昇と関連した(相対リスク範囲2.74-13.8)。
●結論 母体が妊娠前から糖尿病を有する場合,胎児のCHDリスクは大きく上昇し,このリスクは時を経ても変わらず,また糖尿病分類による差もみられなかった。妊娠前の急性糖尿病合併症既往と単胎生児のCHDリスクとの関連は強く,因果経路(causal pathway)における血糖値の役割が示唆された。