編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Chung YR, Park SW, Kim JW, Kim JH, Lee K: PROTECTIVE EFFECTS OF DIPEPTIDYL PEPTIDASE-4 INHIBITORS ON PROGRESSION OF DIABETIC RETINOPATHY IN PATIENTS WITH TYPE 2 DIABETES. Retina. 2016; [PubMed]

これまでに動物実験で,DPP-4阻害薬が血液網膜関門の破綻を防止することや,抗炎症作用を持つこと,血栓形成を減少させることなどが明らかになっている。網膜症を有しない2型糖尿病患者ではsaxagliptinが網膜の毛細血管の血流を正常化させることが報告されている。
今回,後ろ向きの少数例での検討ではあるが,DPP-4阻害薬が血糖降下作用とは独立して糖尿病網膜症(DR)の進展を抑制する可能性が示された。さらなる検討が求められる。【片山茂裕

●目的 2型糖尿病患者において,DPP-4阻害薬は,血糖降下作用とは独立して糖尿病網膜症(DR)の進展を抑制するという仮説を検証した。
一次エンドポイントはDRの進展(ETDRSスケールの1段階以上の進行)。
●デザイン 後ろ向きコホート,単施設(韓国)。
●試験期間 平均追跡期間は26.1±17.9ヵ月。
●対象患者 2005年1月~2015年5月に2型糖尿病の診断を受けた1,879例のうち,網膜症を有した82例(プロペンシティマッチング解析対象は48例)。
対象基準:2型糖尿病発症時の年齢≧27歳,診断から1年以内でインスリン持続治療を必要としない者。
除外基準:追跡期間<1年,眼底写真<2枚,その他の網膜疾患,最初の発現時におけるレーザー光凝固/硝子体茎切除術の実施歴,血糖降下薬の記録がない者。
●方法 対象をDPP-4阻害薬投与例(DPP-4阻害薬群[28例]),非投与例(対照群[54例])に分けて,DPP-4阻害薬がDR進展に与える影響を検討した。
DPP-4阻害薬群の内訳はvildagliptin投与4例,sitagliptin投与14例,saxagliptin投与3例,linagliptin投与6例,gemigliptin投与1例,metformin単独/併用1例。対照群で使用された血糖降下薬はSU薬かつ/またはmetformin。
年齢,糖尿病罹病期間,HbA1c値,初回のDR重症度スケールに基づき,DPP-4阻害薬投与例と対照例を1対1にマッチングした解析も実施した(各群24例)。
ロジスティック回帰分析により,DR進展がみられた患者と,DR安定患者を比較し,DR進展の関連因子を検討した。
ETDRSスケールは眼底写真(seven-field stereo photographs)により評価した。
●結果 DR進展が認められたのは,DPP-4阻害薬群7例,対照群26例(p=0.043)であった。
プロペンシティスコアマッチングによる解析では,DR進展を認めた患者は,DPP-4阻害薬群(25.0%)で,対照群(63%)に比し有意に少なかった(p=0.009)。
DR進展の低リスクと有意な関連を示したのはDPP-4阻害薬のみであり,DPP-4阻害薬はDR進展の有意な抑制因子であった(未調整オッズ比0.36,95%信頼区間0.13-0.98,p=0.046,プロペンシティマッチングによる調整オッズ比0.20,0.06-0.69,p=0.011)。
●結論 DPP-4阻害薬による治療は,DR進展に対する独立した保護因子であり,この効果は血糖コントロール改善とは独立したものであった。