編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Eriksson JW, Bodegard J, Nathanson D, Thuresson M, Nyström T, Norhammar A: Sulphonylurea compared to DPP-4 inhibitors in combination with metformin carries increased risk of severe hypoglycemia, cardiovascular events, and all-cause mortality. Diabetes Res Clin Pract. 2016; 117: 39-47. [PubMed]

この解析では,HbA1cなどの臨床成績は一切得られていない。本研究では,罹病期間が長くなり,インスリン分泌能が低下している例にSU薬が投与され,内因性インスリン分泌が保持されていると考えられている例にDPP-4阻害薬が投与された,と考えることもできよう。
metformin+DPP-4阻害薬のみでも入院を要するような低血糖が生じているが,その理由も詳細に知りたい点である。
他と比較してglibenclamide使用例ではCVD,全死亡のリスクが大であったが,その原因が低血糖によるものなのか,あるいは心筋のプレコンディショニング障害を介してのものであるのかも,これからの臨床研究テーマであろう。
一方で,最近順天堂大学を中心としたグループより,DPP-4阻害薬の使用例では,非使用例に比し,CVDのサロゲート・エンドポイントとされる頸動脈エコーによる内膜中膜複合体肥厚度の進展阻止が見られたことが相次いで発表された(Diabetes Care. 2016;39:139-48 [PubMed], Diabetes Care. 2016;39:455-64. [PubMed])。DPP-4阻害薬使用による治療が直接的な抗動脈硬化作用を発揮するのか,注目されよう。【河盛隆造

●目的 2型糖尿病患者において,metformin+スルホニル尿素(SU)薬またはmetformin+DPP-4阻害薬の心血管疾患(CVD),全死亡,重度低血糖のリスクを比較した。
●デザイン 観察研究。
●試験期間 登録期間は2006~2013年。追跡期間中央値は,metformin+SU薬3.4年(143,344人-年),metformin+DPP-4阻害薬2.5年(32,133人-年)。
●対象患者 52,760例:metformin+SU薬治療(40,736例)またはmetformin+DPP-4阻害薬治療(12,024例)を開始したスウェーデンの2型糖尿病患者。
登録基準:インスリン以外の糖尿病治療薬単独療法の施行歴。
除外基準:1年以内の妊娠糖尿病,1型糖尿病。
●方法 スウェーデン処方薬登録,死亡原因登録,全国患者登録のデータを用いて,年齢,性別,脆弱性,CVD既往,CVD予防薬を調整後のイベントリスクを推定した。
●結果 重度低血糖,CVD,全死亡の粗発生率(/1,000人-年)は,metformin+SU薬治療でそれぞれ2.0,19.6,24.6,metformin+DPP-4阻害薬治療でそれぞれ0.8,7.6,14.9であった。
metformin+DPP-4阻害薬に対するmetformin+SU薬の調整ハザード比(95%CI)は,重度低血糖で2.07(1.11-3.86),致死的/非致死的CVDで1.17(1.01-1.37),全死亡で1.25(1.02-1.54)であり,傾向スコア調整・合致解析の結果も同様であった。
SU薬のうち,CVD,全死亡のリスクが最も高かったのはglibenclamideであった。
●結論 2型糖尿病患者において,metformin+SU薬はmetformin+DPP-4阻害薬に比し,低血糖,CVD,全死亡のリスクを増大させた。