編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Marso SP, et al.; LEADER Steering Committee on behalf of the LEADER Trial Investigators: Liraglutide and Cardiovascular Outcomes in Type 2 Diabetes. N Engl J Med. 2016; 375: 311-22. [PubMed]

2008年にFDAは「新規糖尿病治療薬の心血管系疾患発症リスク評価に関する新基準」を発表し,新規2型糖尿病治療薬の承認申請をする全ての製薬企業に,心血管系疾患発症リスクの評価を求めた。それに沿って,DPP-4阻害薬,GLP-1受容体作動薬,SGLT2阻害薬による心血管イベントへの影響について新たなエビデンスが得られてきた。これらのデータを理解し解釈するうえで注意すべき点は,こうした目的の臨床試験では主要評価項目である心血管イベントが十分多くなければ評価・解析できないことから,高リスク患者を対象にしていることである。事実,結果的に両群とも心血管イベント数は高値であった。本研究では,開始12~18ヵ月後から,死亡,心筋梗塞,脳卒中のいずれもがプラセボ群に比し,顕著に抑制されたことから,GLP-1受容体作動薬の抗動脈硬化作用が発揮されたのではないか,と推定されよう。【河盛隆造

●目的 心血管疾患リスクの高い2型糖尿病患者において,liraglutideの心血管アウトカムに対する長期効果を検討した。
主要評価項目は,心血管死,非致死性心筋梗塞(無症候性含む),または非致死性脳卒中の複合。
●デザイン 無作為,二重盲検,多施設(32ヵ国,410施設)。
●試験期間 ランダム化期間は2010年9月~2012年4月,追跡期間中央値は3.8年(事前設定による追跡終了は2014年8月~2015年12月),治療期間中央値は3.8年。
●対象患者 9,340例:心血管疾患リスクの高い2型糖尿病(HbA1c≧7.0%)患者で,糖尿病の薬物治療歴がない,または1種類以上の経口血糖降下薬かつ/またはインスリンによる治療歴を有する者。心血管疾患合併は72.4%,慢性腎臓病(ステージ3以上)合併は24.7%,心血管疾患+慢性腎臓病合併は15.8%,糖尿病罹病期間は平均12.8年,平均HbAa1cは8.7%。
●方法 2週間のプラセボrun-in後,標準治療への追加投与として,liraglutide群(1.8 mgを1日1回皮下注射,4,668例),プラセボ群(4,672例)にランダム化。
eGFR(<30,≧30mL/分/1.73m2)による層別化を実施。
目標血糖値(≦7.0%,または担当医の裁量)に到達できない場合は,GLP-1受容体作動薬,DPP-4阻害薬,pramlintide以外の薬剤であれば使用可とした。
●結果 主要評価項目の発生は,liraglutide群(608例[13.0%])でプラセボ群(694例[14.9%])にくらべ有意に少なかった(ハザード比[HR] 0.87,95%信頼区間0.78-0.97,非劣性のp<0.001,優越性のp=0.01)。心血管死(liraglutide群219例[4.7%],プラセボ群278例[6.0%],HR 0.78,0.66-0.93,p=0.007),全死亡(それぞれ381例[8.2%],447例[9.6%],HR 0.85,0.74-0.97,p=0.02)はliraglutide群で有意に少なかった。非致死性心筋梗塞(6.0%,6.8%,p=0.11),非致死性脳卒中(3.4%,3.8%,p=0.30),心不全による入院(4.7%,5.3%,p=0.14)もliraglutide群で少なかったが群間に有意な差はみられなかった。
重症低血糖症はliraglutide群のほうが有意に少なかった(2.4%,3.3%,p=0.02)。liraglutideの治療中止となった有害事象でもっとも多かったのは消化管事象であった。膵炎は非有意ながらliraglutide群のほうが少なかった。
●結論 心血管イベント高リスクの2型糖尿病患者において,心血管死+非致死性心筋梗塞+非致死性脳卒中の複合発生率は,liraglutide群のほうがプラセボ群よりも低かった。