編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Hirabayashi N, Hata J, Ohara T, Mukai N, Nagata M, Shibata M, Gotoh S, Furuta Y, Yamashita F, Yoshihara K, et al.: Association Between Diabetes and Hippocampal Atrophy in Elderly Japanese: The Hisayama Study. Diabetes Care. 2016; 39: 1543-9. [PubMed]

日本における疫学研究を代表する久山町研究において,糖尿病と脳萎縮,海馬萎縮の関連を検討した報告である。1200人を超える対象者にMRIを行い,75gOGTTの結果との関連を詳細に検討した本報告は極めて貴重である。
その結果,空腹時血糖ではなく食後2時間血糖値が,またより長い糖尿病の罹病期間が,脳萎縮,海馬萎縮と有意に関連していることが判明した。今後は,認知症の進行度との関連や,認知症の発症・進展の抑制が可能か否か等,本研究の結果を基にさらに発展させた報告がまたれる。【西村理明

●目的 日本人の高齢者において,糖尿病と脳萎縮または海馬萎縮の関連を検討した。
●デザイン 集団を対象としたプロスペクティブ研究。
●試験期間 試験期間は2012年。
●対象患者 1238例:脳MRI検査と包括的健康診断を実施した≧65歳の久山町一般住民。男性540例,女性698例。
●方法 脳MRI検査により,総脳体積(TBV),頭蓋内体積(ICV),海馬体積(HV)を評価。
交絡因子を調整後,糖尿病関連パラメータとTBV/ICV比(全般的脳萎縮の指標),HV/ICV比(海馬萎縮の指標),HV/TBV比(全般的脳萎縮を超えた海馬萎縮の指標)の関連を検討した。
●結果 多変量で調整した後も,糖尿病患者(286例)は非糖尿病患者に比し,TBV/ICV比(77.6 vs. 78.2%),HV/ICV比(0.513 vs. 0.529%),HV/TBV比(0.660 vs. 0.676%)が有意に低かった(すべてp<0.01)。
TBV/ICV比,HV/ICV比,HV/TBV比は,食後2時間血糖値の上昇とともに有意に低下したが,空腹時血糖値との有意な関連は認めなかった。
糖尿病の罹病期間≧17年は,TBV/ICV比,HV/ICV比,HV/TBV比の低下と有意に関連していた。
中年期(41~64歳)に糖尿病と診断された例では,非糖尿病例または老年期に診断された例に比し,HV/ICV比とHV/TBV比が有意に低かった。
●結論 日本人の高齢者において,長い糖尿病罹病期間と食後2時間血糖値の上昇は,脳萎縮(特に海馬萎縮)のリスク因子であった。