編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Coleman KJ, Haneuse S, Johnson E, Bogart A, Fisher D, O'Connor PJ, Sherwood NE, Sidney S, Theis MK, Anau J, Schroeder EB, O'Brien R, Arterburn D: Long-term Microvascular Disease Outcomes in Patients With Type 2 Diabetes After Bariatric Surgery: Evidence for the Legacy Effect of Surgery. Diabetes Care. 2016; 39: 1400-7. [PubMed]

高度の肥満例にルーワイ胃バイパス術などが施されるようになり,糖尿病が消失する例が多く観察されている。しかし,その後の血糖コントロール状況がよくなければ,当然のことながら細小血管障害が発症してくる。2型糖尿病の寛解は一時的なものである,と理解して対処することが必要である。【河盛隆造

●目的 2型糖尿病患者において,細小血管疾患発症リスクに対する肥満手術の「レガシー効果」を検討した。
一次エンドポイントは細小血管疾患(網膜症,神経障害,または腎症の複合)。
●デザイン 後向きコホート研究。
●試験期間 登録期間(肥満手術施行時期)は2001年1月1日~2011年12月31日,追跡期間は10年。
●対象患者 4,683例:20~79歳,重症肥満の2型糖尿病患者で,肥満手術を施行した者。平均46.7歳,女性76%。肥満手術の術式は,調節性胃バンディング術6%,ルーワイ胃バイパス術79%,スリーブ状胃切除術15%。
肥満外科手術の採用基準:コントロール不良の2型糖尿病(HbA1c≧6.5%,または空腹時血糖≧126mg/dL[2年以内の直近測定値]),または薬物療法中の2型糖尿病(経口/静注の糖尿病治療薬を現在処方されている者)。
●方法 米国のHealth Care Systems Research Networkの4つの統合医療サービスシステムの登録データを使用した。
肥満手術後の2型糖尿病状態(寛解なし,寛解,寛解後に再発)と細小血管疾患発症との関係を検討するため,Cox比例ハザード回帰モデルを用いて多変量調整ハザード比(HR)を求めた。
●結果 細小血管疾患発症率は,肥満手術の1年後は9.5%,7年後は40.5%であった。そのうち,網膜症はそれぞれ8.0%,36.5%,腎症は0.7%,4.9%,神経障害は0.4%,1.9%であった。
寛解した患者(再発例を含む)は,寛解なしの患者にくらべ,細小血管疾患発症リスクが29%減少した(調整HR 0.71,0.60-0.85)。
寛解後に再発した患者では,寛解時間の長さは細小血管疾患発症リスクと負の関連を示し,寛解しなかった患者にくらべ,再発前の寛解年数が1年増すごとに,細小血管疾患リスクが19%減少した(HR 0.81,0.67-0.99)。
●結論 肥満手術後に2型糖尿病が寛解した患者では,たとえその後に再発したとしても,細小血管疾患発症リスクが減少した。本研究結果は,肥満手術のレガシー効果を支持するものであり,手術による2型糖尿病の寛解が一時的なものであっても,細小血管疾患リスクが長期的に減少する可能性が示された。