編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
2017年11月現在,1130報収載!
全トライアルリスト
[HOMEに戻る]
Akter S, Kurotani K, Kashino I, Goto A, Mizoue T, Noda M, Sawada N, Tsugane S; Japan Public Health Center–based Prospective Study Group: High Dietary Acid Load Score Is Associated with Increased Risk of Type 2 Diabetes in Japanese Men: The Japan Public Health Center-based Prospective Study. J Nutr. 2016 ;146:1076-83. [PubMed]

これまでに,食事由来の酸負荷量が多いとインスリン抵抗性を来す,または血圧が上昇することが報告されている。2型糖尿病との関連を検討したものは少なく,関連あり,関連なしとするものがそれぞれ1報ずつであった。
今回はJPCHの大規模なコホートで検討しており,その結果,男性でのみPRALが高いと2型糖尿病の新規発症率が高まることが明らかにされた。詳細な機序は不明であるが,代謝性アシドーシスではコルチゾールの分泌増加,インスリン分泌に関わるCaやMgの調節,IGF-Iの作用の阻害などが関与する可能性が挙げられる。女性では関連が明らかでなかったが,糖尿病の発症率が,男性の2.5%に比べ1.3%と低いためかもしれない。酸-塩基平衡を保つ適切な食餌の摂取により,2型糖尿病の患者数を減らせるかどうか,さらなる検討が必要であろう。【片山茂裕

●目的 日本の成人において,食事の酸性度(dietary acid load)と2型糖尿病発症との関連を検討した。
●デザイン 前向き,コホート研究。
●試験期間 試験開始は1990年(コホートI)および1993年(コホートII)。追跡調査は5年後および10年後。
●対象患者 64,660例(男性27,809例,女性36,851例):5保健所管轄地域(岩手県,秋田県,長野県,沖縄県,東京都)に居住する40~59歳の日本人(コホートI),および6保健所管轄地域(茨城県,新潟県,高知県,長崎県,沖縄県,大阪府)に居住する40~69歳の日本人(コホートII)のうち,2型糖尿病の既往がなく,5年後および10年後の追跡調査を実施した者。
●方法 JPHCの5年後追跡調査をベースラインとし,10年後追跡調査で2型糖尿病の新規発症を調査し,食事の酸性度と2型糖尿病発症リスクとの関連を検討した。
各追跡調査では,食事摂取頻度調査票(FFQ)により147項目の食事頻度を調査した。食事の酸性度は,潜在的腎臓酸負荷(PRAL)スコア,および内因性酸産生量(NEAP)スコアにより評価した。
対象をPRALスコア,NEAPスコアによりそれぞれ四分位にわけて男女別に検討した。多変量Cox回帰分析を用いてオッズ比(OR)および95%信頼区間を求めた。
●結果 2型糖尿病の新規発症は1,191例(男性692例,女性499例)であった。
男性では,PRALスコアと2型糖尿病発症には正の相関が見られた。年齢,BMI,喫煙状況,アルコール摂取量,身体活動,高血圧既往,糖尿病家族歴,およびエネルギー摂取量で調整後,2型糖尿病のOR(95%信頼区間)は,PRALスコアがもっとも低いQ1(OR 1.00[対照])に比べ,Q2ではOR 1.09(0.87-1.36),Q3ではOR 1.10(0.88-1.37),Q4ではOR 1.25(1.01-1.55)であった(p for trend=0.047)。特定の食品摂取(野菜,果物,肉,魚介類,米,コーヒー,ソフトドリンク)でさらに調整すると,この関係はさらに強くなった(Q4 vs. Q1のOR 1.61,1.16-2.24)。NEAPスコアは2型糖尿病発症リスクと関連しなかった(p for trend=0.20)。
女性では,PRALスコア,NEAPスコアともに,2型糖尿病発症リスクとの関連を認めなかった。
層別解析では,若年層の男性(<50歳)において,PRALと2型糖尿病との間に正相関がみられた(傾向のp=0.046)。
●結論 日本人男性において,食事の酸性度スコアが高いと,2型糖尿病発症リスクが増加することが示唆された。