編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Frías JP, Guja C, Hardy E, Ahmed A, Dong F, Öhman P, Jabbour SA. Exenatide once weekly plus dapagliflozin once daily versus exenatide or dapagliflozin alone in patients with type 2 diabetes inadequately controlled with metformin monotherapy (DURATION-8): a 28 week, multicentre, double-blind, phase 3, randomised controlled trial. Lancet Diabetes Endocrinol. 2016; 4: 1004-1016. [PubMed]

一次エンドポイントであるHbA1cの変化は,exenatideおよびdapagliflozin単独の効果の相加効果よりもかなり小さいことが注目される。そして,この状況はベースラインのHbA1c 8~9%と9%以上の群においても変わらなかった。また,いずれの群においても重篤な低血糖は見られず,インスリン分泌を促進しないmetformin,dapagliflozin,および生理的な血糖に依存するインスリン分泌を増幅するexenatideの併用においては低血糖のリスクは小さいことが示された。
糖尿病治療薬の選択・組み合わせにおいては,血糖コントロールと並んで心血管イベントに対する影響が注目される。本研究は28週と短期間であり,心血管イベントに対する影響を検討するように計画されていないが,exenatideとdapagliflozinの併用は体重減少および収縮期血圧の低下に対しては相加的な効果をもたらした。
本件はmetforminのみでは血糖コントロールが不十分な症例における次の一手について,一つのヒントを与えたと言えよう。【景山 茂

●目的 metforminでコントロール不良の2型糖尿病患者において,GLP-1受容体作動薬exenatide+SGLT2阻害薬dapagliflozin併用による有効性と安全性を,exenatide単独またはdapagliflozin単独と比較した。主要評価項目は,ベースラインから28週後までのHbA1cの変化。
●デザイン 無作為,二重盲検,プラセボ対照,多施設(109施設,6ヵ国)。有効性はintention-to-treat解析,安全性はsafety-analysis set解析,第III相。
●試験期間 ランダム化期間は2014年9月4日~2015年10月15日。
●対象患者 18歳以上で,metformin安定量(≧1,500 mg/日)を2ヵ月以上投与してもコントロール不十分(HbA1c 8.0~12.0%)の2型糖尿病患者。平均年齢はexenatide+dapagliflozin群54歳/exenatide群54歳/dapagliflozin群55歳,女性はそれぞれ55%/49%/52%,HbA1cは9.3±1.1%/9.3±1.1%/9.3±1.0%。
除外基準:metformin以外の血糖降下薬を登録前12週間以内に14日間以上使用した者。
●方法 1週間のプラセボrun-in後,対象患者695例をexenatide+dapagliflozin群(231例,exenatide 2mg 1回/週,dapagliflozin 10mg 1回/日),exenatide群(231例),dapagliflozin群(233例)に1:1:1にランダム化。ベースラインのHbA1c(<9.0% vs. ≧9.0%)により層別化した。
一次エンドポイントはベースラインから28週後までのHbA1cの変化。二次エンドポイントは,ベースラインから28週後までの空腹時血糖,食後2時間の血糖,体重および収縮期血圧の変化,28週後のHbA1c<7%の割合,体重減少≧5%の割合。
●結果 ITT解析対象は685例で,611例が研究を完遂した。一次エンドポイントであるベースラインから28週後までのHbA1cの変化はexenatide+dapagliflozin群-2.0%(95%信頼区間-2.1 to -1.8),exenatide群-1.6%(-1.8 to -1.4),dapagliflozin群-1.4%(-1.6 to -1.2)であった。exenatide+dapagliflozin群はexenatide群に比べて-0.4%(-0.6 to -0.1,p=0.004),dapagliflozin群に比べて-0.6%(-0.8 to -0.3,p<0.001),有意に減少した。
また,exenatide+dapagliflozin群はexenatide群,dapagliflozin群に比べ,空腹時血糖値および食後血糖値の減少度が大きく,HbA1c<7.0%の患者の割合が大きく,減量の度合いが大きく,減量≧5%の患者の割合が大きかった。
有害事象はexenatide+dapagliflozin群57%,exenatide群54%,dapagliflozin群52%であり,おもな事象(≧5%)は下痢,注射部位硬結,吐き気,尿路感染症であった。重篤/軽度の低血糖症エピソードはみられなかった。
●結論 metformin単独ではコントロール不十分の2型糖尿病患者において,exenatide+dapagliflozin併用はさまざまな血糖測定値および心血管危険因子を改善し,忍容性も想定内であった。