編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Ku E, McCulloch CE, Mauer M, Gitelman SE, Grimes BA, Hsu CY. Association Between Blood Pressure and Adverse Renal Events in Type 1 Diabetes. Diabetes Care. 2016; 39: 2218-2224. [PubMed]

最近の米国合同委員会(JNC)や米国糖尿病協会(ADA)のガイドラインでは,降圧目標が<140/90mmHgと従来より高めに設定されている。しかしながら,この目標値は2型糖尿病患者でのエビデンスに基づくもので,1型糖尿病患者にも適応されるのかは必ずしも明らかでない。1型糖尿病患者では,正常血圧患者をRA系阻害薬でプラセボ群より血圧を3~7mmHg低下させたEUCLID試験や,平均血圧を<92mmHg(125/75mmHg未満に相当)に低下させたCaptopril Collaborative Studyなどの小規模な試験で,より低い降圧目標の妥当性が示唆されていた。本報告は,1型糖尿病の代表的な介入試験であるDCCTに参加した者のうち,1441例を24年間観察した貴重な成績である。その結果,1型糖尿病患者では,糖尿病腎症の進展防止のためには<120/70mmHgというより低い降圧目標が至適であることが示唆され,今後必要とされる介入試験のデザインにも大きな影響を与えるであろう。【片山茂裕

●目的 1型糖尿病患者において,血圧レベルと糖尿病腎症リスクの関連を検討し,強化血糖コントロール療法により関連が変化するかを検討した。
主要評価項目は,マクロアルブミン尿,ステージIII慢性腎臓病(CKD)。
●デザイン 無作為。
●試験期間 登録期間は1983~1993年。追跡期間は中央値24年。
●対象患者 1441例:1型糖尿病患者。13~39歳(平均27歳)。白人>96%。
●方法 DCCTでは,対象患者を強化血糖コントロール群,従来コントロール群にランダム化。
本解析では,最新の収縮期血圧(SBP)を<120mmHg,120~<130mmHg,130~<140mmHg,≧140mmHg,最新の拡張期血圧(DBP)を<70mmHg,70~<80mmHg,80~<90mmHg,≧90mmHgに分類し,マクロアルブミン尿(>300mg/24時間)またはステージIII CKD(持続性推算糸球体濾過量<60mL/分/1.73m2)との関連を検討した。
●結果 追跡期間中のマクロアルブミン尿の発症は169例(0.54件/100人-年),ステージIII CKDの発症は84例(0.26件/100人-年)であった。
多変量調整後のマクロアルブミン尿とステージIII CKDのハザード比は,SBP<120mmHgで130~<140mmHgに比べてそれぞれ0.59(95%CI 0.37-0.95),0.32(95%CI 0.14-0.75),DBP<70mmHgで80~<90mmHgに比べてそれぞれ0.73(95%CI 0.44-1.18),0.47(95%CI 0.21-1.05)。
SBPまたはDBPと強化血糖コントロール療法の有意な相互作用は認められなかった。
●結論 1型糖尿病患者において,血糖コントロール療法の程度にかかわらず,より低い血圧(<120/70mmHg)で腎アウトカムの悪化のリスクが大幅に低下した。介入試験により,現在推奨されている目標血圧値(140/90mmHg)が1型糖尿病における至適な腎保護には高すぎないかどうか検討する必要があることが示唆された。