編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
2017年9月現在,1114報収載!
全トライアルリスト
[HOMEに戻る]
Skupien J, Warram JH, Smiles AM, Stanton RC, Krolewski AS. Patterns of Estimated Glomerular Filtration Rate Decline Leading to End-Stage Renal Disease in Type 1 Diabetes. [PubMed]

Joslin Clinicへ通院している1型糖尿病患者でのeGFRの低下速度を解析した重要な報告である。ほぼ90%の患者で線形のパターンを示し,糖尿病腎症の成因が単一であることが示唆されたといえる。また,ESRDへの進行を遅延させるためには,eGFRの低下の傾きを緩やかにするような介入が必要である。わが国で進行中の糖尿病腎症重症化予防プログラムの手法にも参考にすべき成績である。【片山茂裕

●目的 末期腎疾患(ESRD)を発症した1型糖尿病患者において,推算糸球体濾過量(eGFR)低下の軌道を検討した。
●デザイン 観察研究。
●試験期間 観察期間は最大24年(中央値6.7年)。
●対象患者 364例:糖尿病クリニックを受診し,1991~2013年にESRDを発症した1型糖尿病患者。男性186例,女性178例。中央値33歳,罹病期間中央値19年。
除外基準:非糖尿病腎症。
●方法 ESRD発症前の血清クレアチニンデータ4721件を用いてeGFRを算出。eGFR値が5つ以上得られた257例について,回帰ベーススプライン法およびデータ平滑法(smoothing)により個々の患者の経時的eGFR軌道(trajectories)を評価した。
●結果 年間のeGFR低下率は様々で,-72 to -2mL/分/1.73m2(中央値-8.5mL/分/1.73m2)と幅があった。eGFR軌道は,225例(87%)で線形またはほぼ線形,15例(6%)で加速,17例(7%)で減速した。ベイジアン法で評価した平滑された軌道は,76%で線形回帰からの有意な逸脱は認められなかった。
●結論 1型糖尿病におけるeGFR低下は主として線形であり,線形性からの逸脱は小さく,予想されるESRD発症時期に対する影響はほとんどなかった。単一の疾病経過が初期から腎低下の基礎にあり,同一の強度のままESRDまで連続すると考えられる。腎機能低下が線形であったことから,ESRDを遅延するための有効な介入法として傾きの軽減を用いるべきことが示唆された。