編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Cornel JH, Bakris GL, Stevens SR, Alvarsson M, Bax WA, Chuang LM, Engel SS, Lopes RD, McGuire DK, Riefflin A, Rodbard HW, Sinay I, Tankova T, Wainstein J, Peterson ED, Holman RR; TECOS Study Group. Effect of Sitagliptin on Kidney Function and Respective Cardiovascular Outcomes in Type 2 Diabetes: Outcomes From TECOS. Diabetes Care. 2016; 39: 2304-2310. [PubMed]

TECOSのCVアウトカムに及ぼす腎機能の影響を検討した事後解析である。CKDのステージが進行するほど,すなわちeGFRが低下するほど,CVアウトカムの発症率が増加することが再確認された。また,尿中アルブミン排泄量よりはeGFRの方がよりよい予測因子であった。なお,4年間でのeGFRの低下はsitagliptin群で大きく,プラセボ群に比べて1.34mL/分/1.73m2低く推移した。この事後解析で最も重要なことは,CKDの3bまでのステージにおいても,sitagliptinは4項目CVアウトカムに影響を及ぼさず,中等度の腎機能低下を有する糖尿病患者でも安全に使用することが示されたことである。【片山茂裕

●目的 DPP-4阻害薬sitagliptin治療を行った心血管(CV)疾患を有する2型糖尿病患者において,ベースラインの推算糸球体濾過量(eGFR)別にCVアウトカムと慢性腎臓病(CKD)アウトカムを検討した。
●デザイン 無作為化試験の事後解析。
●試験期間 登録期間は2008年12月~2012年7月。追跡期間は中央値3.0年。
●対象患者 14,671例:TECOSに参加した2型糖尿病患者。
登録基準:≧50歳,動脈硬化性CV疾患,HbA1c 6.5~8.0%,安定した用量での単剤または2剤併用療法を受けている者。
除外基準:eGFR<30mL/分/1.73m2
●方法 TECOSでは,対象患者をsitagliptin 100mg/日群,プラセボ群にランダム化して既存の治療に追加投与した。
本解析では,ベースラインのeGFRによりステージ1,2,3a,3bに分類し(それぞれ≧90,60~89,45~59,30~44 mL/分/1.73m2),CVおよびCKDアウトカムを検討した。
●結果 eGFRがステージ3bの患者は年齢が高く,女性が多く,糖尿病罹病期間が長かった。
ステージ1,2,3a,ステージにおいても,sitagliptinは4項目CVアウトカムに影響しなかった。の4項目CVアウトカム(CV死+非致死的心筋梗塞+非致死的脳卒中+不安定狭心症による入院)の発生率(/100人・-年)はそれぞれ3.52件,3.55件,5.74件,7.34件で,ステージ1に対するステージ2,3a,3bの調整ハザード比はそれぞれ0.93(95%CI 0.82-1.06),1.28(95%CI 1.10-1.49),1.39(95%CI 1.13-1.72)であった。正常アルブミン尿に比して,微量アルブミン尿・蛋白尿のステージにおける4項目CVアウトカムのハザード比は,それぞれ1.19倍・1.33倍となったが,有意差には達しなかった。
いずれのステージにおいても,sitagliptinは4項目CVアウトカムに影響しなかった。
sitagliptin群とプラセボ群における4年間のeGFR低下はsitagliptin群で大きく(-4.0±18.4 vs. -2.8±18.3mL/分/1.73m2),sitagliptin群のほうが一定してeGFRがわずかに有意に低く(平均差-1.34mL/分/1.73m2),この群間差は,地域,ベースラインのeGFR,ベースラインのHbA1c,評価時期,試験中のHbA1c変化を調整した後も同様であった(平均差-1.43mL/分/1.73m2)。
●結論 腎機能低下とCVアウトカム不良には関連性が認められた。ベースラインのeGFRにかかわらず,sitagliptinはCVまたはCKDアウトカムに有意な影響を及ぼさなかった。