編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
2017年9月現在,1114報収載!
全トライアルリスト
[HOMEに戻る]
Gamble JM, Chibrikov E, Twells LK, Midodzi WK, Young SW, MacDonald D, Majumdar SR. Association of insulin dosage with mortality or major adverse cardiovascular events: a retrospective cohort study. Lancet Diabetes Endocrinol. 2017; 5: 43-52. [PubMed]

インスリンと動脈硬化との関係は古くから指摘されている。メトホルミン単剤にインスリンを上乗せする治療法はわが国では多くはなく,通常,インスリンの前に他の経口血糖降下薬を追加することが一般的である。また,インスリンの用量は本研究では1日当たり平均58単位とわが国における2型糖尿病患者における用量よりかなり高用量である。心血管イベントの発生頻度も,英国に比較してわが国では少ない。2型糖尿病の病態も医療環境もわが国とは異なるので,本研究結果はわが国における糖尿病診療に影響を与えるものではないであろう。【景山 茂

●目的 2型糖尿病患者において,インスリン用量の増加は,全死亡,心血管イベントリスクと関連するか検討した。
一次アウトカムは全死亡,主要有害心血管イベント(非致死性心筋梗塞,非致死性脳卒中,心血管死の複合)。
●デザイン 後向き,コホート研究。
●試験期間 登録期間は2001年1月1日~2012年12月31日,追跡期間(中央値)は3.1年(四分位範囲1.7~5.3)。
●対象患者 6,072例:メトホルミン単剤のnew userで,これにインスリン療法を追加する30歳以上の2型糖尿病患者。インスリン開始時の平均年齢は60歳,HbA1cは8.5%,男性54%。
除外基準:メトホルミン処方の前,1年以内に他の糖尿病治療薬を使用した者,妊娠糖尿病,多嚢胞性卵巣症候群,追跡期間中の妊娠,初回と2回目のインスリンの処方の間隔が180日超の者,インスリン処方回数が3回未満の者,インスリンの使用期間が180日未満の者。
●方法 英国のClinical Practice Research Datalinkのデータを使用した。
対象患者を,過去180日以内におけるインスリンの平均投与量(/日)によりカテゴリー分けし,全死亡および心血管イベントとの関連を検討した。
●結果 追跡期間におけるインスリンの平均用量は57.8 units/日であった。
インスリンの用量別に総死亡率(/1000人・年)をみると,<25 units/日群では46,25~<50 units/日群では39,50~<75 units/日群では27,75~<100 units/日群では34,≧100 units/日群では32であり,いずれも有意な差を認めなかった。
ベースラインの共変量で調整後,インスリン用量が増えるほど全死亡リスクが上昇し,<25 units/日群を対照とすると,25~<50 units/日群のハザード比(HR)は1.41(95%信頼区間1.12-1.78),50~<75 units/日群ではHR 1.37(1.04-1.80),75~<100 units/日群ではHR 1.85(1.35-2.53),≧100 units/日群ではHR 2.16(1.58-2.93)であった。しかし,周辺構造モデルで調整後は,インスリン用量と全死亡との関連は消失した(p>0.1)。
病院の診療記録および死亡診断書にリンクさせた3,281例の検討では,インスリンの高用量と主要有害心血管イベントとの関連は認められなかった。
●結論 新規にインスリン療法を追加した2型糖尿病患者において,インスリン用量が多いほど全死亡率が上昇した。