編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
2017年9月現在,1114報収載!
全トライアルリスト
[HOMEに戻る]
Mosenzon O, Leibowitz G, Bhatt DL, Cahn A, Hirshberg B, Wei C, Im K, Rozenberg A, Yanuv I, Stahre C, Ray KK, Iqbal N, Braunwald E, Scirica BM, Raz I. Effect of Saxagliptin on Renal Outcomes in the SAVOR-TIMI 53 Trial. Diabetes Care. 2017; 40: 69-76. [PubMed]

SAVOR-TIMI 53の腎機能に関するサブ解析である。saxagliptinの投与群では,ACRは試験開始時のACRの程度,すなわち正常アルブミン尿・微量アルブミン尿・顕性アルブミン尿かに関わらず,またeGFRの程度に関わらず,改善した。そして,ACRの改善は試験期間中にHbA1cが改善した群でも改善しなかった群でも見られた。この意味では,saxagliptinのACR低減効果は血糖コントロールとは独立した作用であり,GLP-1受容体を介した作用と考えられる。詳細は不明であるが,酸化ストレスの軽減などの機序も考えられる。ただ,ハード・アウトカムである腎複合エンドポイントが改善しなかったことは,試験期間が平均2.1年と短かったことや,ACRの測定が複数回でなく1回の検体採取により行われたこと,eGFRの測定が試験前・1年後・2年後・試験終了時の4回であったことなどの影響が挙げられる。今後,DPP-4阻害薬の心血管疾患や腎機能へのさらに長期の検討が必要であろう。【片山茂裕

●目的 心血管(CV)リスクの高い2型糖尿病患者において,DPP-4阻害薬saxagliptinの腎安全性と有効性を検討した。
腎エンドポイントは,糖尿病腎症の初発もしくは再発,死亡+血清クレアチニンの2倍化+人工透析+腎移植の複合。
●デザイン 無作為化比較試験の探索的解析。
●試験期間 追跡期間は2.1年(中央値)。
●対象患者 16492例:CVリスクの高い2型糖尿病患者。
登録基準:6ヵ月以内のHbA1c 6.5~<12.0%,CV疾患の既往,複数のCV疾患リスク因子。
除外基準:慢性透析を行っている末期腎疾患既往,腎移植,血清クレアチニン>6.0mg/dL,推算球体濾過量(eGFR)<15mL/分/1.73m2
●方法 SAVOR-TIMI 53では,saxagliptin 5mg/日(eGFR≦50 mL/分/1.73m2の場合は2.5 mg/日)群,プラセボ群にランダム化した。
アルブミン-クレアチニン比(ACR)に基づき,正常アルブミン尿(ACR<30mg/g),微量アルブミン尿(ACR 30~300mg/g),顕性アルブミン尿(ACR>300mg/g)に分類した。
●結果 ベースラインの正常アルブミン尿は9696例(58.8%),微量アルブミン尿は4426例(26.8%),顕性アルブミン尿は1638例(9.9%)であった。
すべてのアルブミン尿群で,saxagliptinはプラセボに比し,ベースラインから試験終了までのACR改善が有意に大きく,ACR悪化が有意に少なかった(正常アルブミン尿P=0.021,微量アルブミン尿P<0.001,顕性アルブミン尿P=0.049)。
2年後のプラセボに対するsaxagliptinの平均ACR変化の群間差は,eGFR>50mL/分/1.73m2では-19.3mg/g(p=0.033),eGFR 30~≦50mL/分/1.73m2では-105mg/g(p=0.011),eGFR<30mL/分/1.73m2では-245.2mg/g(p=0.086)であった。
ACRを連続変数とした場合,saxagliptinはプラセボに比し,1年後,2年後,試験終了時のACRを有意に低下させた(1年後P<0.0001,2年後P=0.0143,試験終了時P=0.0158)。
saxagliptinによるACR変化は,1年後,2年後,試験終了時のHbA1cと関連しなかった。
saxagliptinとプラセボで,eGFRの変化,血清クレアチニンの2倍化,慢性透析開始,腎移植,血清クレアチニン>6.0mg/dLは同等であった。
●結論 saxagliptinは,正常アルブミン尿であってもACRを改善し,eGFRには影響しなかった。アルブミン尿に対するsaxagliptinの有益な作用は,血糖コントロールに対する作用とは独立していた。