編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
2017年11月現在,1127報収載!
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Bethel MA, Engel SS, Green JB, Huang Z, Josse RG, Kaufman KD, Standl E, Suryawanshi S, Van de Werf F, McGuire DK, et al.; TECOS Study Group: Assessing the Safety of Sitagliptin in Older Participants in the Trial Evaluating Cardiovascular Outcomes with Sitagliptin (TECOS). Diabetes Care. 2017; 40: 494-501. [PubMed]

高齢者の増加は著しく,各薬剤が高齢者において若年者と同様の有効性と安全性を有するかの評価が求められている。その意味において,本トライアルは重要な知見を示したといえる。【綿田裕孝

●目的 心血管疾患を伴う2型糖尿病患者において,75歳以上の患者のsitagliptinによる臨床アウトカムを75歳未満と比較し,さらに75歳以上の患者におけるsitagliptinの有効性と安全性を検証した。
一次エンドポイントは心血管死+非致死性脳卒中+非致死性心筋梗塞+不安定狭心症による入院の複合。
●デザイン TECOS試験(無作為化,二重盲検,多施設[38ヵ国])のサブ解析。intention-to-treat解析(有効性),as-treated解析(安全性)。
●試験期間 登録期間は2008年12月~2012年7月,追跡期間中央値は2.9年。
●対象患者 14,351例(75歳以上2,004例[sitagaliptin群970例,プラセボ群1,034例],75歳未満12,347例):心血管疾患を伴う2型糖尿病。平均年齢は75歳以上で78.3歳,75歳未満で63.4歳,男性はそれぞれ67.7%,71.7%,HbA1cは7.18%,7.24%。
TECOS試験の採用基準:50歳以上,アテローム性動脈硬化症,HbA1c 6.5~8.0%(metformin,pioglitazone,またはSU薬の安定用量での単剤または二剤併用療法下),インスリン治療を受けている者(metformin有無に関わらない)。
TECOS試験の除外基準:推算糸球体濾過量(eGFR)<30mL/分/1.73m2
●方法 TECOS試験では, sitagliptin群(eGFR値に適した用量),プラセボ群にランダム化。
本サブ解析では,75歳以上の患者と75歳未満の患者の臨床アウトカムを比較し,さらに75歳以上の患者においてsitagliptin群とプラセボ群を比較した。
●結果 75歳以上の患者では,75歳未満の患者にくらべ,HbA1c値はわずかながら有意に低下し(最小二乗平均差-0.11%[95%信頼区間-0.15 to -0.07],P<0.0001),複合一次エンドポイント(ハザード比[HR] 1.72 [1.52 to 1.94]),心不全による入院(HR 1.48 [1.18 to 1.87]),全死亡(HR 2.52 [2.20 to 2.89]),悪性腫瘍(HR 1.76 [1.43 to 2.15]),重症低血糖症(HR 1.53 [1.15 to 2.03]),骨折(HR 1.84[1.44 to 2.35])の発生リスクが有意に高かった。
75歳以上において,sitaigliptin群ではプラセボ群にくらべ,HbA1c値が有意に低下したが(最小二乗平均差-0.30% [0.37 to -0.24]),複合一次エンドポイント(HR 1.10 [0.89 to 1.36]),全死亡(HR 1.05 [0.83 to 1.32]),心不全による入院(HR 0.99 [0.65 to 1.49]),重症低血糖症(HR 1.03 [0.62 to 1.71])のいずれも,プラセボ群との有意な差を認めなかった。急性膵炎および膵臓がん,重篤な有害事象の発生は少なく,いずれも有意な群間差を認めなかった。
●結論 75歳以上のコントロール良好な2型糖尿病を合併した心血管疾患患者において,sitagliptinの心血管疾患リスクに対する効果は中立的であり,安全性に関する大きな懸念は認められなかった。