編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Driessen JH, van den Bergh JP, van Onzenoort HA, Henry RM, Leufkens HG, de Vries F. Long-term use of dipeptidyl peptidase-4 inhibitors and risk of fracture: A retrospective population-based cohort study. Diabetes Obes Metab. 2017; 19: 421-428. [PubMed]

チアゾリジン系のインスリン抵抗性改善薬は,骨折を増加させることが知られている。一方,GIPは骨芽細胞を活性化し,GLP-1は齧歯類の骨減少症を伴うモデルでは骨密度を増加させることが報告されており,DPP-4阻害薬は骨代謝を改善し骨折を減少させることが期待されている。事実,DPP-4阻害薬が骨折に及ぼす影響については,減少させるとするメタアナリシスが報告されたが,その後のいくつかの観察研究では骨折の減少はみられなかった。これらの検討では,DPP-4阻害薬投与の期間が1年未満と短すぎることが問題点として挙げられていた。
数年から8.5年に及ぶ多数例での今回の検討から,DPP-4阻害薬は骨折,骨粗鬆症性骨折,股関節骨折のリスクを増大させないことが明らかになった。最近の[PubMed]51のRCTや[PubMed]62のRCTを用いたメタアナリシスでも同様な結果が報告されている。また,DPP-4阻害薬を用いた大規模な心血管アウトカム試験であるSAVOR-TIMI 53[PubMed]TECOSでも骨折の増加はみられていない。これらの結果から,骨折リスクが高い2型糖尿病患者でもDPP-4阻害薬は適した血糖降下薬であるといえる。【片山茂裕

●目的 2型糖尿病患者において,DPP-4阻害薬の長期使用と骨折リスクの関連を検討した。
●デザイン レトロスペクティブ,コホート。
●試験期間 データ収集期間は2007年6月13日~2015年12月31日。
●対象患者 328,254例:インスリン以外の糖尿病治療薬が処方された≧18歳の2型糖尿病患者。うちDPP-4阻害薬使用は46,355例。
●方法 英国のClinical Practice Research Datalinkデータベースを使用した。
Cox比例ハザードモデルを用いて年齢,性別,生活習慣,併発疾患,併用薬使用を調整後,他の糖尿病治療薬使用例に対するDPP-4阻害薬使用例のすべての骨折,骨粗鬆症性骨折,股関節骨折のハザード比(HR)を算出した。
●結果 DPP-4阻害薬の現在の使用は現在の他の糖尿病治療薬使用に比し,すべての骨折リスク(HR 0.99,95%CI 0.93-1.06),骨粗鬆症性骨折リスク(HR 0.96,95%CI 0.87-1.05),股関節骨折リスク(HR 0.96,95%CI 0.81-1.15)と関連しなかった。
DPP-4の連続使用期間を層別化後も,使用期間の長さによるすべての骨折リスク(4.0~8.5年のHR 0.99,95%CI 0.70-1.41),骨粗鬆症性骨折リスク(3.0~8.5年のHR 0.75,95%CI 0.52-1.09),股関節骨折リスク(2.0~8.5年のHR 1.24,95%CI 0.85-1.79)の上昇は認められなかった。
●結論 DPP-4阻害薬の長期連続使用によるすべての骨折,骨粗鬆症性骨折,股関節骨折のリスク上昇は認められなかった。