編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Lee JS, Chang PY, Zhang Y, Kizer JR, Best LG, Howard BV. Triglyceride and HDL-C Dyslipidemia and Risks of Coronary Heart Disease and Ischemic Stroke by Glycemic Dysregulation Status: The Strong Heart Study. Diabetes Care. 2017; 40: 529-537. [PubMed]

一般臨床においてはあまり介入が行われていないTG高値かつHDL-C低値に対して,どのような患者に介入すべきか示唆を与える研究である。本結果は糖尿病かつLDL値の高い例にこそ介入すべきとの可能性を示しているが,本検討の対象患者はスタチン多剤投与,優先投与の対象ともいえ,実臨床でどのように対応すべきか判断に迷う症例であるともいえるだろう。【綿田裕孝

●目的 肥満と糖尿病の有病率が高いアメリカ先住民の地域住民において,空腹時血漿トリグリセライド(TG)高値かつHDL-C低値は冠動脈疾患(CHD)および虚血性脳卒中の危険因子であり,この関係の強さは糖尿病状態,性別,LDL-C値に依存するという仮説を検証した。
主要評価項目は,致死的・非致死的虚血性脳卒中およびCHD(致死的心筋梗塞,CHDによる心臓突然死,その他の致死的CHD,非致死的definite CHD)。
●デザイン 前向きコホート,多施設(米国4州)。
●試験期間 登録期間は1989~1991年,追跡期間中央値は17.7年。
●対象患者 3,216例:45~74歳のアメリカ先住民。平均56歳,男性40%,糖尿病41%。
除外基準:心血管疾患の既往,ベースラインTGおよびHDL-C値の欠測。
●方法 空腹時TG≧150mg/dLをTG高値,空腹時HDL-C<40mg/dL(男性),<50mg/dL(女性)をHDL-C低値と定義。
TG値,HDL-C値の組み合わせにより,対象患者をTG高値+HDL-C低値群,高値+正常値群,正常値+低値群,正常値+正常値群(対照)の4群に分け,Cox比例ハザードモデルを用いて脳卒中およびCHDのハザード比(HR)を算出。多変量モデルの変数には年齢,性別,喫煙,BMI,推定LDL-C値,糖尿病,降圧薬使用,身体活動量,eGFR,尿中アルブミン・クレアチニン比を含めた。
さらに,これらの関係が性別,糖尿病の有無,LDL-C(≧130mg/dL vs <130mg/dL)により変わるかを検討するため,各条件で層別解析を行った。
●結果 CHD発症は789例(18.6/1,000人・年),虚血性脳卒中発症は158例(3.7/1,000人・年)であった。
TG高値+HDL-C低値群は正常値+正常値群にくらべCHDリスクが有意に高かったが(調整HR 1.32,95%信頼区間1.06-1.64),脳卒中との関連はみられなかった(1.46,0.92-2.33)。
糖尿病患者ではTG高値+HDL-C低値群はCHD(1.54,1.15-2.06),脳卒中(2.13,1.06-4.29)のリスクが高かったが,非糖尿病者では関連はみられなかった(交互作用p=0.003,p=0.060)。
また,LDL-C≧130mg/dLの例ではTG高値+HDL-C低値群はCHD(1.42,1.02-1.97)のリスクが高かったが,<130mg/dLの例では関連はみられなかった(交互作用p=0.064)。
性別はこれらの関係に影響を及ぼさなかった。
●結論 TG高値+HDL-C低値の成人,とくに糖尿病患者はCHDと虚血性脳卒中のリスクが高かった。また,とくにLDL-C≧130 mg/dLの人ではCHDのリスクが増加する可能性が示された。