編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Araki E, Onishi Y, Asano M, Kim H, Yajima T. Efficacy and safety of dapagliflozin over 1 year as add-on to insulin therapy in Japanese patients with type 2 diabetes: the DAISY (Dapagliflozin Added to patients under InSulin therapY) trial. Diabetes Obes Metab. 2017; 19: 562-570. [PubMed]

すでにインスリン療法を行っている血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者に,SGLT2阻害薬dapagliflozinを上乗せ投与した場合の有効性と安全性が示された。低血糖,尿路・性器感染症という懸念される副作用もプラセボ群とdapagliflozin群とで有意な差を認めなかった。
しかしながら,日常診療では,まずいくつかの経口血糖降下薬を併用しても血糖コントロールが不十分な場合にインスリンを併用することが一般的である。一方,本研究の対象患者は,チアゾリジン系薬(わが国ではpioglitazoneのみ)以外の糖尿病治療薬を用いていない,インスリン療法を行っている血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者という,やや特殊な状況にあることには留意する必要がある。
糖尿病治療薬では心血管イベントに対する影響が問われるが,本研究では体重減少と血圧の低下が観察された。実際に心血管イベントに対して悪影響がないか,あるいはよい影響があるか否かについては,今後の検討に待たなければならない。【景山 茂

●目的 インスリン治療中の日本人2型糖尿病患者において,dapagliflozin追加投与の有効性と安全性を評価した。
有効性の評価項目は,HbA1c,空腹時血糖,体重,インスリン1日量の変化。
●デザイン 無作為化,二重盲検,プラセボ対照(16週)+非盲検(36週),多施設。
●試験期間 試験期間は2014年6月~2015年11月,追跡期間は52週。
●対象患者 2型糖尿病182例:≧20歳,インスリン0.2U/kg/日かつ≧15U/日の8週以上の投与,HbA1c 7.2~11%,eGFR≧45mL/分/1.73m2
除外基準:登録前2ヵ月以内の心血管イベント既往,6ヵ月以内のチアゾリジン系薬の投与。
●方法 本試験は16週無作為化比較試験と36週非盲検延長試験の2期にわかれており,16週後のHbA1cの変化(一次エンドポイント)はすでに報告されている。今回は全52週の結果の報告。
対象患者をdapagliflozin群(122例)とプラセボ群(60例)に2:1に割付け。16週間の投与後,延長試験に移行し全例にdapagliflozinを36週間投与した。dapagliflozinは5mg/日より開始し,第20週以降にHbA1c>7.5%の場合は第24週以降に10mg/日へ増量,減量は許可しなかった。
インスリン用量は低血糖発現時または低血糖リスク上昇と医師が判断した場合に減量,空腹時血糖>240mg/dLで増量とした。
DPP-4阻害薬の投与は継続したが,他の経口糖尿病治療薬(チアゾリジン系薬を除く)は中止した。
●結果 第16週のHbA1c値のベースラインからの低下はdapagliflozin群-0.62%,プラセボ群-0.08%であったが,その後プラセボ群でdapagliflozinの投与開始に伴い低下し,第52週には両群同等となった(-0.74%,-0.83%)。空腹時血糖の変化も同様であった。
体重はdapagliflozin群で最初の8週間と第28週以降に低下したが,プラセボ群では第16週までやや増加した後,dapagliflozinの投与開始に伴い低下した(第52週:dapagliflozin群-1.50kg,プラセボ群-1.37kg)。
インスリン投与量はdapagliflozin群では一貫して減少し,プラセボ群では延長試験移行後に減少した(第52週:dapagliflozin群-1.52U/日,プラセボ群-2.14U/日)。
dapagliflozinを10mg/日に増量した症例はプラセボ群のほうが多く(dapagliflozin群58.8%,プラセボ群64.9%),増量に伴うインスリンの減量も同群のほうが大きかった(dapagliflozin群-0.53U/日,プラセボ群-1.59U/日)。
有害事象発現率はそれぞれ82.9%,71.7%で,ほとんどが軽度であった。低血糖発現率はそれぞれ35.0%,41.7%であり,性器/尿路感染,腎障害/不全,体液量減少,骨折,肝障害の発現率は両群とも≦5%であった。
●結論 日本人2型糖尿病患者において,dapagliflozinのインスリンへの追加投与は有効であり,忍容性も良好で,インスリン減量効果も認められた。