編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
2017年12月現在,1134報収載!
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Heller SR, Bergenstal RM, White W, Kupfer S, Bakris GL, Cushman WC, Mehta CR, Nissen SE, Wilson CA, Zannad F, Liu Y, Gourlie NM, Cannon CP; EXAMINE Investigators. [PubMed]

心血管イベントリスクが高い急性冠症候群発症直後の例における検討である。本邦ではDPP-4阻害薬の使用例が急上昇しているが,SU薬やインスリン投与量を減量し,低血糖のリスクを避けつつ,より良い血糖コントロールに維持できている例が増えてきている。DPP-4阻害薬により増加したGIPが低血糖時のグルカゴン分泌を高め,低血糖の重症化を防止している可能性も臨床で証明されてきている。さらに,本邦での2年間にわたる前向き研究により,DPP-4阻害薬追加投与が対照群に比し,頸動脈エコー法によるIMT進展を有意に抑制することが示された(Mita T, et al. Diabetes Care. 2016;39:139-48.[PubMed],Mita T, et al. Diabetes Care. 2016;39:455-64. [PubMed])。
低血糖発症を避けつつ,正常に近似した血糖応答を維持して,内因性インスリン分泌を回復させ,かつ全身細胞でのインスリンの働きを高める,という2型糖尿病治療の究極の目標を達成することが不可能ではなくなってきていることを実感する。【河盛隆造

●目的 急性冠症候群を最近発症した2型糖尿病患者において,ベースライン,治療1ヵ月後,および最終HbA1cと低血糖イベントの既往/発生は,主要有害心血管(MACE)イベント発生リスクと関連するか否かを検討した。
●デザイン EXAMINE試験(無作為化,二重盲検,多施設[49ヵ国])のサブ解析。
●試験期間
●対象患者 5,380例:血糖降下薬による治療を要する2型糖尿病(HbA1c 6.5~11.0%[インスリン治療時は7.0~11.0%])で,割付け前15~90日以内に急性冠症候群イベントを発症した患者。
●方法 EXAMINE試験では,alogliptin群(2,701例)とプラセボ群(2,679例)にランダム化。
本サブ解析では,全体をHbA1c値(ベースライン:<7%[alogliptin群454例,プラセボ群464例],7~<8%[949例,948例],8~<9%[768例,726例],≧9%[529例,541例])と,低血糖イベント発生の有無(追跡期間中:発生354例,非発生5,026例)でカテゴリー分けし,MACE発症のハザード比(HR)をCox比例ハザードモデルにより算出した。その際,ベースラインの年齢,性別,糖尿病罹病期間,喫煙状況,推算糸球体濾過量,急性冠症候群の種類,血糖降下薬(インスリン,metformin,SU薬)で調整し,腎機能および地域による層別化を実施した。
●結果 ベースラインのHbA1cに関わらず,alogliptin群ではプラセボ群にくらべ,治療1ヵ月後のHbA1c値が低く,低血糖イベント発生率に群間差を認めなかった。
両治療群をあわせた解析では,MACE発生リスクは,ベースラインのHbA1c<7%の患者とそれより高値の患者で有意な差を認めなかった。また,1ヵ月後においても,HbA1c値のカテゴリー間における差はなかった。
重篤な低血糖イベントが発生した患者では,発生しなかった患者にくらべ,MACE発生リスクが有意に上昇した(調整HR 2.42,95%信頼区間1.27-4.60,p=0.007)。また,全低血糖イベントを発生した患者においても,非発生患者にくらべ,MACE発症リスクの有意なリスク上昇が認められた(HR 1.38,1.05-1.80,p=0.019)。しかしながら,低血糖イベントに続いて発生したMACEに限定すると,その関連は減弱した(調整HR 1.60,0.80-3.20)。
●結論 ベースラインおよびalogliptin治療1ヵ月後のHbA1c値は,MACE発症リスクと関連しなかった。alogliptinは,低血糖イベントを増加させることなく,血糖コントロールを改善した。全低血糖イベントおよび重症低血糖イベントはMACE発症リスクと関連した。本研究結果により,急性冠症候群を最近発症した2型糖尿病患者において,alogliptinは安全に血糖コントロールを改善することが強く示唆された。