編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Son JW, Lee SS, Kim SR, Yoo SJ, Cha BY, Son HY, Cho NH. Low muscle mass and risk of type 2 diabetes in middle-aged and older adults: findings from the KoGES. Diabetologia. 2017; 60: 865-872. [PubMed]

アジア人は他の人種に比べて肥満度が低くてもあるいは軽度の体重増加で糖尿病になりやすいことが知られている。この原因の一つとして,内臓肥満になりやすく骨格筋量が低いことが考えられる。NHANES III[PubMed]では,横断的ではあるが,骨格筋量の低値がインスリン抵抗性や高血糖,前糖尿病と関連することが示されている。
今回の中高年の韓国人において前向きで行われたKorean Genome Epidemiology Study(KoGES)の解析で,MMIで評価した低筋肉量は一般的な肥満とは独立して2型糖尿病発症リスクと関連することが示されたといえる。筋肉量が少なければ,糖の利用が悪くなってインスリン抵抗性となり,膵β細胞機能にも負担を与えることになるため,アジア人が欧米人に比べて低いBMIで糖尿病を発症しやすいことの説明となるであろう。【片山茂裕

●目的 中高年の一般住民において,低筋肉量と2型糖尿病発症との関連を検討した。
●デザイン 前向き,コホート研究。
●試験期間 ベースライン調査は2001年,2002年。追跡期間は平均9.06年(2014年まで)。
●対象患者 6,895例(男性3,252例,女性3,643例):韓国の農村(安城)または産業地域(安山)に6ヵ月以上居住している40~69歳の非糖尿病の一般住民。平均年齢は52.1歳,BMIは24.4kg/m2。平均筋量指標(MMI)は,男性32.1%,女性26.0%。
除外基準:血糖状態不明,糖尿病の既往,ベースライン時に糖尿病が認められた者。
●方法 全体をMMIの三分位(低値[男性<30.94%,女性<24.96%],中値[30.94~33.11%,24.96~26.95%],高値[≧33.11%,≧26.95%])によりカテゴリー分けし,多変量調整Cox比例ハザード回帰モデルを用いて,年齢,農村/産業地域,糖尿病の家族歴,高血圧,喫煙,アルコール消費,教育レベル,身体活動,月収,総カロリー摂取量により調整後,ハザード比(HR)を算出した。MMIの1SD増加低下ごとのHRも算出した。
MMIはインピーダンス法で測定した四肢レベルにおける除脂肪量を筋量として体重(kg)に対する割合と定義し,肥満はBMI≧25kg/m2または腹囲≧90cm(男性)/≧85cm(女性)と定義した。
●結果 追跡期間中の2型糖尿病の新規発症は1,336例(19.4%)であった。
MMI高値に対する,MMI低値の2型糖尿病発症の多変量調整HRは2.05(95%信頼区間1.73-2.43),MMI中値のHRは1.39(1.17-1.66)であった。また,MMIの1SD低下ごとの2型糖尿病発症のHRは1.35(1.26-1.45)であった。さらに筋肉量,腹囲,BMIをカテゴリー変数として調整しても,これらの関連は修正されなかった(それぞれp<0.01)。BMIによる層別解析では,2型糖尿病発症に対するMMI低値の人口寄与度は非肥満では11.9%の増加,肥満では19.7%の増加であった。
●結論 中高年の韓国人において,MMIで評価した低筋肉量は2型糖尿病発症リスクと関連し,その関連は一般的な肥満とは独立したものであった。