編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
2017年8月現在,1106報収載!
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Haneda M, Seino Y, Inagaki N, Kaku K, Sasaki T, Fukatsu A, Kakiuchi H, Sato Y, Sakai S, Samukawa Y. Influence of Renal Function on the 52-Week Efficacy and Safety of the Sodium Glucose Cotransporter 2 Inhibitor Luseogliflozin in Japanese Patients with Type 2 Diabetes Mellitus. Clin Ther. 2016; 38: 66-88. [PubMed]

SGLT2阻害薬は,近位尿細管に存在するSGLT2受容体を阻害して,ブドウ糖との再吸収を阻害し,血糖を低下させる。したがって,腎機能障害が中等度以上になるとその薬効が十分に得られなくなる。添付文書にも,「効能・効果に関連する使用上の注意」の項に,「(2) 重度の腎機能障害のある患者又は透析中の末期腎不 全患者では本剤の効果が期待できないため,投与しないこと。(3)中等度の腎機能障害のある患者では本剤の効果が十分に得られない可能性があるので投与の必要性を慎重に判断すること」と記されている。
本試験は,中等度腎機能障害例におけるluseogliflozinの有効性と安全性を評価したものである。中等度腎機能障害例は腎機能正常例に比し,HbA1cと体重の減少度が有意に小さかったものの,有害事象発生率は腎機能障害の程度にかかわらず同等であり,中等度腎機能障害例における有効性と安全性が示されたといえる。ただ,最近のEMPA-REG OUTCOME試験の腎臓に関する解析では,むしろ腎機能障害が中等度までの患者でempagliflozinを投与することにより腎複合エンドポイントが改善することが報告されている。どのような糖尿病患者にSGLT2阻害薬を使えば,糖尿病腎症の改善や発症予防が認められるのか,今後わが国でもそのような観点でのトライアルが待たれる。【片山茂裕

●目的 日本人2型糖尿病患者において,luseogliflozinの有効性と安全性に対する腎機能の影響を検討した。
有効性の評価項目はHbA1c,空腹時血糖値(FPG),体重の変化。安全性の評価項目は有害事象(AE),検査パラメータ,バイタルサイン。
●デザイン 無作為,二重盲検,第III相。
●試験期間 試験期間は52週。
●対象患者 1175例(試験1は145例,試験2は1030例):日本人2型糖尿病患者。
登録基準:試験1は食事/運動療法下または固定用量の経口糖尿病治療薬1~2剤治療下での推算糸球体濾過量(eGFR)≧30~<60mL/分/1.73m2の者。試験2は≧20歳,HbA1c≧6.9%~≦10.5%,試験登録前8週以上の通常食療法を受けている者。
除外基準:試験1は重度蛋白尿を伴う腎疾患,1年以内の透析歴,試験完遂前の末期腎疾患発症リスクのある者。試験2はeGFR<45mL/分/1.73m2(試験1を除く),血圧>170/100mmHg,試験登録前8週以内のインスリン治療,生殖器感染症既往,排尿障害,臨床的に明らかな肝障害。
●方法 試験1では,中等度腎機能障害例におけるluseogliflozinの有効性と安全性を評価。対象患者をluseogliflozin 2.5mg/日群(95例)またはプラセボ群(50例)に2:1にランダム化して24週投与後,全例にluseogliflozin 2.5mg/日または5mg/日を28週投与した。
試験2では,試験1を含む第III相試験4件の統合解析を行い,様々な腎機能例におけるluseogliflozinの有効性と安全性を評価。ベースラインの推算糸球体濾過量(eGFR)により,腎機能正常275例(≧90mL/分/1.73m2),軽度腎機能障害598例(≧60~<90mL/分/1.73m2),中等度腎機能障害157例(≧30~<60mL/分/1.73m2)に分類した。
●結果 試験1において,luseogliflozinはプラセボに比し,24週後のHbA1cが0.19%低下し(p=0.041),FPGが7.8mg/dL低下し(p=0.028),体重が1.28kg減少した(p<0.001)。52週後はベースラインに比し,HbA1cが0.30%低下し,FPGが14.1mg/dL低下し,体重が2.01kg減少した(すべてp<0.001)。24週間のAE率はluseogliflozin 67.4%,プラセボ62.0%で,52週間のAE発生率は81.1%であった。
試験2において,すべての腎機能群で52週後のHbA1c,FPG,体重が有意に減少した。中等度腎機能障害例は腎機能正常例に比し,HbA1cと体重の減少度が有意に小さかった。HbA1c変化への影響は,ベースラインのeGFRよりもベースラインのHbA1cのほうが大きかった。AE発生率はすべての腎機能群で同等で,大半が軽度であった。
●結論 日本人2型糖尿病患者において,luseogliflozinはベースラインのeGFRにかかわらず血糖コントロールを改善し体重を減少させた。また同薬剤の忍容性と安全性もベースラインのeGFRにかかわらず良好で,重大な安全性の問題は認められなかった。